BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ビッグデータ活用の常識は今すぐ捨てなさい』

2015/08/20 15:27

週刊BCN 2015年08月10日vol.1591掲載

データの海に溺れている企業へ

 ビッグデータが注目されるようになったのは、大量のデータを格納し、処理するための環境が整ってきたからだ。ストレージの価格が下がり、ネットワークの整備が進み、安価なハードウェアをつないで大量のデータを処理できるHadoopのようなソフトウェアが登場し、ビッグデータへとつながっていく。つまり、活用については明確な答えがなかったというのが、当初のビッグデータの状況だった。ビッグデータの本質は、将来のために、とにかくあらゆるデータを集めておくことにあるとされていた。

 それから数年が経ち、クラウドコンピューティングが普及し、IoT(Internet of Things)やオムニチャネルといった新たなITトレンドも登場してきたことで、大量のデータを格納し、処理するための環境がさらに整備されつつある。そのなかでいまだに課題として残っているのが、ビッグデータをいかにして有効活用すべきなのか、である。

 本書がタイトルで「ビッグデータ活用の常識は今すぐ捨てなさい」としているのは、ビッグデータを保有している企業のほとんどが、ビッグデータ活用で成果を上げていないからである。そうなってしまう理由は、ビッグデータの活用が簡単ではないからに尽きる。

 そこで本書が提唱するのが「関係性技術」である。人やモノ、サービスなどの関係性さえ導き出せば、素人でも直感的に理解できるような分析ができるという。本書は関係性技術の理解だけでなく、ビッグデータ活用がうまくいっていない原因の確認にも有効活用できる。(亭)


『ビッグデータ活用の常識は今すぐ捨てなさい』
神戸デジタル・ラボ 編
幻冬舎 刊(1500円+税)
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