10月から、私たち一人ひとりにマイナンバーが通知されます。各種公共団体や企業などの「マイナンバー対応」は、IT業界にとっても特需を生むものと考えられていますが、こと業務ソフトパッケージの市場では、昨年の消費税改正時のような特需とは事情が異なります。
給与人事系のソフトが、まずはマイナンバー対応の主な対象になるわけですが、ソフトメーカー側は、保守サービスの契約をしているユーザーには、マイナンバー対応プログラムを追加費用なしで提供するのが基本方針のようです。つまりは、マイナンバー対応のためのプログラム開発やサポートにリソースを割かなければならないものの、それが直接的な売上の向上というかたちでリターンをもたらすわけではないということです。
それでは、マイナンバーは業務ソフトメーカーにとって、単なる負担でしかないのかというと、そういうわけでもなさそうです。各社各様、中長期的な視点で、マイナンバーを成長のきっかけにするための戦略を打ち出してきています。これだけインパクトのある社会制度の変革を、ビジネスチャンスとして活用できなければ、浮き沈みの激しいIT業界で生き残っていくのは難しいということかもしれません。(本多和幸)
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A-SaaS マイナンバーを中小企業へのクラウド浸透の契機に 税理士とのタッグで市場を広げる メールマガジン「Daily BCN Bizline 2015.8.25」より