▼大手SIerの社長に「どんなサーバーが売れてますか」と聞くと、ほぼ決まって「はっ？」と怪訝そうな表情をされる。サーバーを売ってはいても、利幅が少ないために関心の対象にならず、ましてやどの機種が売れているのか念頭にないことの表れだ。

▼一昔前なら、サーバーを卸してもらっているメーカーへの配慮から、わざと売れ筋をぼかす社長も少なからずいたが、今では、たぶん本当に知らないのだろう。

▼米データセンター（DC）大手のエクイニクスが約330億円の買収金額を提示して、国内DC大手のビットアイルに対する株式公開買付けを進めている。「どう思うか」と、野村総合研究所の嶋本正会長兼社長に聞いたところ、「買うより、むしろ借りたいよ」と、買収ではなくビットアイルからサーバーを借りたいとの、素っ気ない返答だった。

▼サーバーやDCは、いずれもハードウェア商品であり、ソフト・サービスを柱としたSIを利益の源泉とするSIerにとって、利益にはつながりにくい。これまで戦略商材だったDCも、サーバー並みのコモディティ化が進んでいる一端がうかがえる。（寶）