難問に答えを出すアタマの使い方

　「言いたいことを相手に正しく伝えられない」。資料が悪いのか、話し方が悪いのか、相手が興味をもっていないのか。いずれにせよ、“正しく”伝えることはビジネスシーンでは欠かせないだけに改善したいところだ。

　また、本人が正しく伝えたつもりでも、伝わっていないことも考えられる。会社や上司を説得できない、売り上げが伸びないといったケースの原因は、単に言いたいことが伝わっていないだけかもしれない。会社や上司のグチをこぼす前に、自分に原因を求めてみてはいかがか。

　筆者はズバリ指摘する。「相手にうまく伝えられないのは、そもそもきちんと考えていないからだ」と。逆をいうと、きちんと考えていれば、相手にうまく伝わるというわけだ。

　そこで本書で紹介しているのが、きちんと考えるための「整理」「分解」「比較」という三つの基本スキルである。それぞれの意味は次の通り。相手の話の内容や世の中の事象を「整理」する。ものごとを取り扱いやすいような大きさに「分解」する。相手に伝える意味を引き出すように「比較」する。この三つの基本スキルを身につければ、どんな複雑な問題でも、戦略コンサルタントのように、自分なりに考え、答えを出せるようになるという。

　本書では、三つの基本スキルをしっかり紹介していて、最後の章では具体例のオンパレードとなる。著者が外資系コンサル出身ということもあって説得力があり、図が豊富で理解もしやすい。「思考の質より、思考量」など、意外な提言も。これは役に立つ。（亭）


『外資系コンサルの3STEP思考術』
森 秀明 著
ダイヤモンド社 刊（1600円＋税）