組み込みソフト開発を取材していると、「モデルベース開発」という言葉をよく耳にします。設計の段階でソフトの挙動をシミュレーションして、完成度を高めてからソースコードに落とし込んでいく開発手法で、ツールによってはソースコードを自動生成してくれるそうです。
こんな優れた手法やツールがあるならば、一般の業務アプリケーションの開発にも応用できそうですが、実際、そうは問屋が卸さないのだとか。理由は、「モデルベース開発」はアルゴリズムに軸足を置いているため、業務アプリケーションのように「ただプログラムのボリュームが大きく複雑なだけ」のソフト開発には不向きなんだそうです。
組み込みソフトは、CPUやメモリの制限が多いなか、いかにアルゴリズムを駆使して目的の動作をさせるかを追求してきた分野だからこそ、「モデルベース開発」の考案につながりました。逆説的ですが、アルゴリズム重視の組み込みソフトならではの着想があったと言えそうです。(安藤章司)
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連載「標準化の波が車載システムを襲う 黒船 AUTOSAR」の記事一覧メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.8.4」より