ITインフラの世界ではここ数年、ソフトウェア定義型ストレージ(SDS)など「SDなんとか」と呼ばれる技術が話題となっています。機器の構成に物理的な変更を加えなくても、ソフトウェア制御によってITインフラを自動的に構築・運用できるので、複雑化するデータセンターの管理を省力化できる……と言われていますが、自分の目で見たものしか信じられず、思考がハードウェアの世界にいまだ取り残されている私にとっては難しい話が多いです。
なかでも苦手だったのが、ネットワークをソフトウェアで定義するとされるSDN。資料を何度読んでも、「コントロールプレーンとデータプレーンを分離し、云々」といった抽象概念がなかなか頭に入ってきません。概念が飲み込めないので、なぜそれが必要なのかもはっきりしないという悪循環に陥っていました。週刊BCNの10月17日号で特集した「SD-WAN」も、初めて耳にしたときには「またSDNの仲間に新しいのが増えたのか! 難しそう!」というイメージしかありませんでした。
しかし、取材を進めてみると、通信内容によって回線や通信経路を選び、コストやセキュリティを最適化してくれるというメリットは非常にわかりやすいものでした。もちろん、SDNはデータセンターや企業のオフィスにも適用可能なもので、この技術を拠点間接続に適用したSD-WANは、SDNの可能性の一部に過ぎませんが、いままでぼんやりとしていた「それで、SDNで何ができるの?」という部分が、いくらかクリアになったように思います。「SDなんとか」が、ちんぷんかんぷんだった一般企業のIT管理者も、同じように思ってくれるのでは……と期待しています。(日高彰)
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<特集> クラウド時代に拠点を結ぶ SD-WAN メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.11.02」より