台湾に本社をおくATENは、複数のPCでディスプレイやキーボードを共用するための切り替え機(KVMスイッチ)で有名なメーカーです。ここ数年は、PCやサーバーの周辺機器という世界を飛び出し、映像関連機器にも進出しており、事業は順調に拡大しているということでした。
ディスプレイの切り替えをするという機能は同じなのだから、これはIT機器、これは映像機器と区分することに意味はあるのだろうか、と思ったのですが、同社のジョビ・チャン取締役は「品質には自信がありましたが、最初に映像業界に製品をもっていったときには、ずいぶん厳しい評価をいただきました」と、映像機器事業を立ち上げた当時を振り返ります。PCのディスプレイを切り替えるときには、少し表示が遅れたり、一瞬ノイズが乗ったりしても大きな問題にはなりませんが、映像の世界では、信号の切り替え時に0.1秒でも黒い画面が表示されることが許されず、ブランク無しの一瞬で画面が変わることが求められ、最初は要求を満たすのに苦労したということです。
最近では、ディスプレイやネットワークが低価格化したことで、従来は映像業界の仕事だったサイネージソリューションが、IT業界でもホットな商材になりつつあります。ATENでは前述の課題を克服したことで、ITにも映像にも強いメーカーとしての地位を確立。双方の技術を融合したシステムの提案にも力を入れています。(日高彰)
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ATENジャパン IT機器と映像機器の統合提案を拡大 4K対応とIP伝送製品を推進 メールマガジン「Daily BCN Bizline 2016.11.30」より