ハンコと並び、日本のビジネスの生産性の低さを象徴するツールとして揶揄されがちなファクス。「ファクス付きの電話機なんて、欧米では博物館に行かないと見られないよ」などといわれることもあるくらいです。しかし昨年、欧州でITイベントに参加したとき、会場のプレスルーム(報道関係者用の作業部屋)でダイヤルトーンが聞こえたのであたりを見回すと、備え付けの複合機からファクスを送信している記者の姿が。

 日本に比べれば、海外でファクスがかなりマイナーであることは間違いないと思いますが、「博物館にしかない」というのは明らかにいいすぎです。公共や医療などの“お堅い”業種ではかろうじて現役という話を聞いたこともあります。

 この先、ファクスの需要が再び増すことは考えにくいですが、ITシステム側で送受信の細かな制御を行う必要がなく、セキュリティ要件を満たしやすいなど、ファクスにもメリットがないわけではありません。何より、今もビジネスで使われているという現実があります。

 「脱ファクス」「脱ハンコ」はキャッチーなキーワードとして取り上げられやすいですが、あくまで目的は生産性の向上です。古いツールをただ目の敵にするのは、ちょっと違う気がします。最終的にファクスの紙出力がなくなるとしても、そこへ至るまでにはいろいろな道筋が考えられそうです。(日高 彰)

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