▼今月、米グーグルのサンダー・ピチャイＣＥＯが3年ぶりに来日した。滞在中は同社のスマートデバイス新製品の発表会に立ち会ったほか、岸田文雄総理大臣を訪ね、日本市場向けの投資加速を約束。千葉県印西市に自社運営のデータセンターを開設するために1000億円を費やすことを明らかにし、その金額は新聞の紙面を賑わせた。

▼ただ、ここではインフラ整備よりも、ピチャイＣＥＯが同時に強調していた「人への投資」に注目したい。同社は今年、オンラインでデジタル技術を学べる仕組みを提供するコンソーシアムを主幹事となって立ち上げた。日本におけるイノベーションを促進することが目的とされているが、裏を返せば、グーグルの高度な技術を使いこなせる人材が日本にはまだまだ少ないということの表れでもある。

▼本来であれば、グーグルのような海外の資金やノウハウに依存することなく、日本のＩＴ企業が自ら主体となって、早くから人材開発に積極的な投資を行っておくべきだったように思う。せめて、これからスキルを身につけて羽ばたこうとする新たなエンジニアたちのために、ＩＴ業界に魅力的な職場を用意しておきたい。（螺）