▼春節休暇中の中国の模様がメディアを通じて伝えられた。映像や写真では、大きな荷物を持ちながら子どもの手を引く親の様子が見られた。コロナ禍の厳しい制限が解かれ、実家に住む祖父母らは、久しぶりに会う孫たちの成長を喜んだはずだ。

▼「民族大移動」と表現されるほど、春節前後の交通機関は大混雑する。中国政府の発表では、春節休暇中に鉄道などで国内を移動した人の数は延べ約2億2600万人に達したとされ、改めて人口の多さを実感した。

▼中国は、世界一の人口を武器に経済を急速に発展させてきた。IT産業も同様で、若者による創業が相次ぎ、強い内需が各社のビジネスを支えた。２０２２年末の中国本土の人口推計が建国以来、61年ぶりに減少に転じ、少子高齢化が急激に進むと予想される中、今後はITを活用した高齢者向けの製品やサービスの市場が拡大する可能性がある。

▼中国が積極的なIT活用で高齢化対策を進めることで、親に手を引かれていた子どもの中から、高齢者向けITの領域でも若いリーダーが登場するかもしれない。実現した場合、春節で帰省した際に、祖父母らに成長を喜ばれるだけでなく、全国の高齢者を笑顔にできるだろう。（鰹）