▼我が家に新たな家族として、推定3歳の成猫がやってきた。コロナ禍のオンライン会議中、相手の画面の中にペットの姿が映り込むと少し心がなごんだものだが、実際に仕事中のデスクに上ってこられると、相手をするのは結構大変なことがわかった。仕事場に入ってこないように柵を作り、素早く出入りするようにしているが、柵をわずかに開けた隙間に猛スピードで駆け込んでくることがあり、手を焼いている。

▼ふてくされたような丸っこい顔が愛らしいうちの猫だが、その出自は過酷を極める。悪質な業者のもとで、排泄を最小限に抑えるため水も食事も満足に与えられず、繁殖要員として働いていたという。その後、業者は飼育を放棄。不幸中の幸いで、生きているうちに保護団体に引き取られた。

▼甘えたいのか、しょっちゅう足もとに寄って体をすり付けてくるが、なでようとしてこちらから手を伸ばすと、おびえるようなしぐさで離れていってしまう。人間との間で信頼関係を築くにはかなり時間がかりそうだ。今やＩＴがどんな質問にも答えてくれるし、どんな絵でも描いてくれる時代だ。人の思いを猫が理解できる表現で伝えてくれるテクノロジーはまだだろうか。（螺）