北斗七星
北斗七星 2025年9月8日付 vol.2074
2025/09/12 09:00
週刊BCN 2025年09月08日vol.2074掲載

▼企業は何のために存在するのか。経営学者のピーター・ドラッカーは「顧客の創出」こそが企業の本質的な目的だと説いた。これが真実かどうかは分からないが、少なくとも顧客を生み出すことを諦めた企業は、遅かれ早かれ社会からの退出を余儀なくされるのは間違いない。
▼不正が発覚したAIスタートアップのオルツは早々に顧客の創出を放棄し、悪質な循環取引による架空の売上を追い求めた。いつかは正当な顧客をつかまえられると考えていたのかもしれないが、その努力を怠っていたと言われても仕方がないだろう。
▼売上高や利益の追求、企業規模の拡大、株式市場への上場といった要素を、経営のモチベーションにすることは否定しない。ただ、それだけが会社を続ける目的になれば、タガが外れる可能性は途端に高まってしまう。
▼これは経営者だけの問題ではない。目先の数字や手柄に誘惑されることは誰にだって起こりうる。偉そうにこの文章を書いている記者も同じだ。自社が本当に、顧客へ価値を届けられているのか。自分の取材や記事が、読者や広告主のニーズに応えられているのか。自問自答し続けなれば、あっという間に打ち捨てられてしまう。(無)
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