時の人

<インタビュー・時の人>ソニーマーケティング コンスーマーAVマーケティング部門 ディスプレイマーケティング部 統括部長 粂川 滋

2010/03/25 18:44

週刊BCN 2010年03月22日vol.1326掲載

 2008年度の業績不振から、09年にテレビビジネスの戦略を見直したソニー。新製品の投入を抑えるなど、守りの体制が目立ったが、今年は矢継ぎ早に新製品を投入して攻勢に転じる。2011年7月のアナログ放送停波に向け、買い替え需要が拡大している現在の薄型テレビ市場。しかし、その先の「ポスト・アナログ停波」でも需要を喚起していくために、「3D」と「ネットワーク」を起爆剤に据える。

3Dとネットワークが活性化のカギ
「ポスト・アナログ停波」の起爆剤に

Q 今年のブラビアの方向性は?

 「昨年に引き続き、動きに強い4倍速技術をアピールするとともに、この技術を応用した3D対応機の訴求に力を入れていく。また、LEDバックライト搭載モデルを一気に拡充し、6シリーズ16機種にする。また、無線LAN対応モデルの拡充など、ネットワーク機能の強化を図った」


Q なぜ今、3Dなのか?

 「3Dを付加価値として訴求することで、単価アップにつなげられると考えている。とくに、アナログ放送停波後の需要を喚起する起爆剤として期待している。独自の調査によれば、3Dに興味があるという人は5割くらい。しかし、実際に体感すると、これが8割に跳ね上がる。年齢や性別に関係なく、幅広い層にアピールできるとみている。テレビの買い替えサイクルは約8年といわれるが、8年間同じテレビを使い続けるなら、3D対応機を勧めたい」

Q 3Dテレビを普及させるためには?

 「3Dは、実際に映像を見てもらわないと価値が伝わらない。店頭を含め、体感の場をつくることに注力する。映画だけでなく、コンサートやドキュメンタリーなど、いろいろなコンテンツを3Dで見ると、楽しさが実感できるはず。コンテンツの拡充が重要になる。ソニーグループとしては、そこも頑張らなければならない領域だ」

Q そのほかのブラビアのアピールポイントは?

 「3Dと並んで、ネットワーク対応も重要視している。現状では、テレビをネットワーク化するメリットを、メーカーとして伝えきれていない。アナログ放送停波以降、次の買い替え需要は、3Dとネットワークが鍵だと思っている。この二つをきっちりやることが、業界の活性化に確実につながると思っている」

Q 2010年の意気込みは?

 「ソニーは、08年度の業績が非常に厳しかったことを受け、09年はデバイス戦略、生産戦略をグローバルで見直し、09年年末の国内向け新製品は、1モデルの投入に押さえた。ある意味、的を絞った展開としてはそれなりのシェアが取れたともいえる。しかし、ソニーとして狙うべきは現状のシェアじゃないと思うし、そこはこれからチャレンジしていく課題だ。2010年はどんどん新商品を投入していく。反転攻勢でビジネスを巻き返したい」

Q 具体的には?

 「追撃体制は整いつつある。今年はしっかりシェアを取りに行くつもりだ。春先からは、サッカーワールドカップのスポンサーとしてのプロモーションを開始する。商品展開もプロモーションも、これからの1年、きっちりとやっていって、2011年には国内で20%以上のシェアを獲得したい」

Q 最後に、先ごろ国内販売を終了した有機ELテレビの今後についてお聞きしたい。

 「4月から、子どもの視聴できる番組やコンテンツを保護者が制限するペアレンタルロックという機能の搭載が義務付けられるが、有機ELテレビはこれに対応できていない。そのため、いったん販売をリセットすることにした。しかし、ソニーとしてグローバルで有機ELというデバイスを諦めたわけではない。各社が液晶の次に来るデバイスを考えるなかで、ソニーとしても、有機ELが選択肢の一つとして残っていくのではないか」

・思い出に残る仕事

海外拠点勤務を、トータルで8年間経験した。各国での経験が、現在のビジネスのバックボーンになっているという。日本は流通の仕組みがきちんとできているが、経験した海外の国々では、流通の整備から始めることが多かった。せっかく開拓した取引先が潰れてしまうこともあった。海外勤務での経験は、思い出で深いことばかり。失敗の積み重ねが、現在のビジネスの嗅覚を養った。

■プロフィール

くめかわ・しげる■1963年生まれ、大阪府出身。筑波大学卒業後、86年4月ソニー入社。92~96年マレーシア、96~98年ロシア、02~03年オランダ、04~05年ドバイのソニー海外拠点を経て、07年4月から現職。
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