エアコンで家電流通に一石を投じる

　エアコンを正面、右、左から角度を変えて見ると、視線の動きに合わせて本体表面のボルドーレッドの色合いも微妙に変化する。

　運転停止時は、風向きを調整するフラップが正面から見えないように完全に格納され、部屋のインテリアと調和するデザインだ。三菱電機は来年「霧ヶ峰」の誕生から50年を迎えるのを機に、コンセプトモデル「FLシリーズ」を発表した。発売日は来春となっており、価格はまだ未定だ。

　三菱電機静岡製作所営業部ルームエアコン販売企画グループの松本崇専任は、「ライフスタイルやデザインにこだわる層に特化したエアコンだ。従来の機能型ではなく、24時間、そのエアコンが存在すること自体が価値になる商品にしたい」と、まったく新しいコンセプトで設計・開発したエアコンであると語る。

　最近のエアコンは機能や省エネ性を追求するあまり、室内機の熱交換器が年々大きくなり、前面に押し出すデザインになっている。FLシリーズは、省エネ性は追求するものの、自動お掃除機能をあえて外した。スリムな薄型デザインにこだわったためだ。

　家電量販店で見られるような他社のエアコンと横一列に並べて、プライスカードやPOPをベタベタと貼る姿がもっとも似合わないエアコンといっても過言ではない。国内家電メーカーの商品企画や家電流通の価格やスペック比較だけの訴求方法に一石を投じるエアコンになることは間違いない。（BCNランキング 細田立圭志）