経済産業省が4月30日に発表した「2001年企業活動基本調査の速報」によると、ほとんどの産業でコンピュータ・OAの導入率が9割を超え、パソコンの保有状況も前回に調査を行った97年度と比べ大幅に上昇した。3－5人にパソコン1台の企業が最も多いものの、製造業、卸売業では1人1台という企業の割合が最多という結果になった。電子商取引を実施している企業が5294社、20.8％にのぼるなど、ITを積極的に活用していることがうかがえる。IT関連ベンダーの売り上げが鈍化するなど、ITに対する逆風もあるものの、企業側では着実に情報化が進んでいる。

●電子商取引が浸透

　企業活動基本調査は、経済産業省が企業の実態を明らかにすることで、企業向け施策の基礎資料を作ることを目的に実施している。情報化の実態だけではなく、産業別の従業員数の動向や、売上高、子会社の数などを調査している。

　今回の発表データは2000年度の実態について01年6月1日に調査を行ったもの。今年4月30日に速報が発表になった。

　調査対象となる企業は、日本標準産業分類の鉱業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、卸売・小売業、飲食店、金融・保険業、サービス業に属する企業のうち、従業員数が50人以上で、資本金3000万円以上の企業。

　このなかで情報化の実態として、コンピュータ・ネットワークの利用率、コンピュータ・ネットワークの種類別利用率、電子商取引の実施状況、電子商取引の取引対象、電子商取引を活用した経済活動の種類、パーソナルコンピュータの保有状況、情報化関連投資の種類別状況を調査している。

　その結果、電子商取引を行っている企業が20.8％となった。この数値は、4月23日に総務省が発表した「平成13年事業所・企業統計調査」における電子商取引の実施比率10.5％に比べ、高い数値となっている。この違いは、経産省のデータが資本金3000万円以上であるのに対し、総務省の調査が有限会社、合資会社など資本金3000万円以下の企業も対象としているためであるといえる。経産省の調査結果は、比較的規模の大きな企業には、着実に電子商取引が実施され始めていることを示しているといえそうだ。

●パソコン普及も進む

　パソコンの保有状況で、1人1台以上の企業割合が高くなってきているのも、大企業でのパソコン導入が当たり前となっていることの表れと見ることができる。

　生産性とパソコン普及度についても、前回調査の97年度と、今回調査の00年度ではパソコン保有台数は全体的に上昇する傾向にあり、しかも生産性の高い企業の方が多くのパソコンを保有する傾向が出ている。

　1台のパソコンを10人以上で利用する換算になる企業は、前回調査では全体平均38.6％だったのに対し、今回は20.7％とパソコン保有台数は全体として向上している。同時に、生産性を向上させていると答えた企業のうち、1台のパソコンを10人以上で利用する企業は18.2％にとどまるなど、生産性が向上している企業の方がパソコン保有率が高いというデータが出てきている。

　電子商取引の実施状況についても、生産性を向上させている企業の実施率が20.5％なのに対し、生産性が低下している企業は16.9％と、生産性の高い企業ほど電子商取引を実施している割合が高いという結果が出た。

　IT業界が主張する電子商取引によって生産性が向上するという主張を裏付ける調査結果となっている。(三浦優子●取材／文)