電子情報技術産業協会（JEITA）が発表した2002年度上期（02年4―9月）の国内パソコン出荷実績は、台数ベースで前年同期比10％減の455万5000台、金額ベースで同7％減の7743億円となった。出荷台数は、法人向けが同11％減、個人向けが同9％減だった。第2四半期（7―9月）の出荷実績は、台数が前年同期比6％減の212万6000台、金額が同6％減の3445億円。JEITAでは、第1四半期における出荷実績（台数で前年同期比13％減、金額で同9％減）と比べて若干の回復の兆しをみせているものの、法人の投資抑制や個人消費の低迷が依然として続いたことが、前年割れの要因だとみている。通期の見通しは、台数が1000万台以上（前年度比約6％減）、金額が1兆6500億円（同7％減）と下方修正した。

　また、日本電気大型店協会（NEBA）では、02年度上期（02年4―9月）におけるNEBA加盟企業の販売実績（金額ベース）が前年同期比5・9％減。前年割れの要因は、「パソコンの販売が依然として厳しい状況であることが大きい」（岡嶋昇一会長＝エイデン会長）としている。ちなみに、加盟企業の上期のパソコン販売実績は同21・9％減で、9月まで20か月連続の前年割れとなっている。

　今後の需要喚起として、JEITAでは、「個人市場では、各メーカーが年末商戦向けの新製品を発売し、滑り出しも順調な様子。とくに、テレビチューナーやDVD搭載モデルなどの人気が上がってきているのも、需要を喚起する要因」（篠崎雅継・JEITAパーソナルコンピュータ事業委員会委員長＝日立製作所COO兼インターネットプラットフォーム事業部長）としている。

　パソコン幹事会の木村政孝幹事長（日立製作所インターネットプラットフォーム事業部マーケティング統括本部長）は、「教育現場へパソコンが普及することで、家庭における小中学生向けの購入が増えることを期待したい」と話す。一方、NEBA・岡嶋会長は、「すべてのメーカーのパソコン販売が落ち込んでいるわけではない。デルコンピュータやアップルコンピュータは好調だ。とくに、デルはサポートに力を注ぎ、24時間365日の顧客サポートを実現し、需要増につなげている」ことに目を向ける。

　そのうえで、「店頭向けに出荷しているメーカーを含め、店頭販売でこうしたサポート体制を実現しているかというと、できていないのが現状だ」と強調。加えて、「付加価値を追求し、高い価格設定のモデルを発売することは重要だが、シンプルで価格が安いモデルを用意する必要性もある」と注文を付ける。確かにデルでは、低価格化を追求した製品ラインアップと、24時間365日無休の「24時間プレミアム電話サポート」をはじめ、電話を受けた当日に出張修理が可能な「3年間当日オンサイト保守サービス」などのサポートで、世界パソコン市場でシェア16％まで拡大している。

　国内市場では、「デスクトップ市場で現在5位だが、近いうちに1位を獲得する」（デルコンピュータ日本法人・浜田宏社長）と意気込み、法人向けに省スペースを追及したデスクトップ型パソコン「ＯｐｔｉＰｌｅｘ（オプティプレックス）SX260」の販売をこのほど開始した。NEBA・岡嶋会長は、「パソコン市場の低迷を打破するためには、ショップや店頭売りメーカーの施策を改善することが重要だ」と指摘する。店頭におけるパソコン販売の施策改善に注目したいところだ。