インテルが新たな打開策

　最近、複数のサーバーベンダーから、「サーバーの発生熱量の大きさと電気の使用量の大きさが悩み」という声を耳にした。CPUそのものの消費電力が大きいことで発熱するとともに、企業が使用する電力の増大が問題になっているという。そして、サーバーを製造する側には、「解決できない問題」なのだそうだ。

　サーバーベンダーがあらためて「電力の使用量が大きい」と言い出したことには理由がある。最近、管理コストを下げるために、企業内に分散しているサーバーを統合することがIT業界の〝旬〟になっている。その際、大規模サーバー1台に集約してしまう方法もあるが、ラック型サーバーやブレードサーバーのようにサイズの小さいサーバーを1か所に並べ、管理だけを集中するやり方もある。このブレードサーバーやラック型サーバーのように、サイズの小さいサーバーを1か所に集めて管理すると、少ないスペースに複数のサーバーが並ぶ。このため余計に熱く、電力が必要になることが明らかになったという。発生する熱が高ければ、サーバールームを冷やす強力な冷房も必要になり、余計に電力を必要とすることになる。

　さらに古いビルの場合、利用できる電力に限りがある場合もある。「ブレードサーバーを導入し、サーバーを収めるスペースは確保できるようになったものの、使用できる電力が足りないため、スペースが空いていても新しいサーバーを導入できないケースもある」（サーバーベンダー）という。この消費電力問題に関しては、CPUを提供するインテル側も認識しており、「今年半ばには問題解決のための2つのソリューションを提供する計画がある」と、米インテルのジェイソン・ワクスマン・エンタープライズプラットフォーム事業本部エンタープライズマルチプロセッサプラットフォームマーケティングディレクタは説明する。

　「1つは電力の使用効率をアップするテクノロジーの導入。そしてもう1つが、ユーザー自身の手で使用電力を管理できるテクノロジーを導入する予定」という。2つ目に挙げられた使用電力の管理というのは、全てのサーバーが同じようにパワーを必要とするわけではない点に着目。常にフル稼働しなければならないサーバーや、時間、作業ごとに稼働状況に差があるサーバーなど各サーバーのパフォーマンスに合わせて、CPUの負荷を設定することを可能としていくテクノロジーである。

　現段階では、「2006年時点で、エンタープライズレベル全体を、パフォーマンスに合わせた設定を可能としていく」（ワクスマン・ディレクタ）という考えだ。かつて、企業へのパソコン導入が一気に増加した時代には、やはり企業内の電力使用量が増えて、「新しいパソコンのスイッチが入ると、ブレーカーが落ちる」といったトラブルも起こった。そのため、「利用できる容量に合わせ、パソコンをレイアウトすることも、システムを構築するスタッフには必要」と言われてきた。

　現在、パソコンの利用を想定し、オフィスビルの電力インフラも大きく変わり、負荷に配慮したレイアウトにする必要も少なくなっている。しかし、サーバーに関しては、どう消費電力をコントロールするのかという問題を解決することが必要な時代に来ているといえるだろう。増えていくサーバーのパワーをどうコントロールしていくのか、システムインテグレータにとって新たな腕の見せ所となるのではないだろうか。 三浦優子●取材／文