ノウハウ獲得が必須に

　コールセンターは顧客満足度が高く、また効率良く運営されているかどうか──。これを測る国際規格として、COPC（Customer Operations Performance Center）という規格がある。

　コールセンターには「品質が重要」といわれるものの、指標がない状態では感覚で品質を判断するしかなかった。そこで、COPCではベンチマークデータを取り入れて、結果を出せるパフォーマンスマネージメント規格として「COPC─2000」を策定。コストを考えながらサービス品質をあげるコールセンターマネジメント作りを実現する規格として、多くの企業が認証を取得している。

　この規格を取得するための教育事業やコンサルティング事業などを展開するプロシードでは、「以前は、コールセンターエージェンシー（専門業者）がメインターゲットとなっていた。しかし最近では、コールセンター業務を発注する企業がこの規格に注目するようになっている」（畑中伸介・CCSグループCOPC事業部ゼネラルマネージャ）と説明する。

　なぜ、こうした変化が起こっているのか。

「コールセンターの品質をあげるためには、寄せられる質問に対する想定問答集を内容の高いものにすることが第一。だが、アウトソーシングばかり活用しているとノウハウがたまらない」と、畑中ゼネラルマネージャは現状の問題を指摘した上で、次のように解説する。「コールセンターは、アウトソーシングを活用するだけでは十分ではないということが理解され始めたからではないか。特に、パソコンはプロダクトとしての差別化ができなくなっているので、コールセンターでの応答の良し悪しがメーカーとしての優劣を決める要因になっている」と。

　パソコンメーカーの中で、コールセンターのレスポンスの良さで評価が高いのがデル。直販で製品を販売するデルは、コールセンターでの対応を重視しており、調査やユーザーの声による評価の高さを大きくアピールしている。コールセンターの品質をビジネスに利用しているわけだ。

　プロシードが開催するCOPCのセミナー「COPCグローバルベンチマークフォーラム」の受講企業の内訳を見ると、今年6月に開催したセミナーでは、発注企業が参加企業の25％を占めるまでになっている。

　今更いうまでもなく、顧客満足度の向上は企業にとって必須条件だ。それを考えると、コールセンター業務についても、「安さ」だけを基準に外部業者を活用するだけでは不十分になってきている。これは、コールセンターを発注する企業がCOPCの認証に興味をもっているという事実を見ても明らかだろう。さらに、畑中ゼネラルマネージャは、「これまでは、トークマナーが優秀であれば技術に詳しくなくても評価された。しかし、これからはトークマナーとともに技術スキルが必要とされる時代になるだろう」と指摘する。

　コストだけを重視するようでは、当然こうしたスキルは身につかない。コールセンターの場合、「人間に依存する部分がかなり大きい。単に土地があるというだけで地方に移転してパートやフリーターを活用するのでは、競争力のあるコールセンターの構築はできない」（畑中ゼネラルマネージャ）ことは当然だろう。

　パソコンビジネスは収益が低下傾向にあるだけに、コストを度外視したコールセンターはもちろん論外だ。だが、コストだけを考えていては、ビジネスに大きな影響があることも確か。コストと収益に見合った品質の高いコールセンター作りが求められている。　三浦優子●取材／文