法改正で新規・買い換え需要に期待
中長期的な製品戦略 「Vista」への期待大 データ処理増への対応必至
──64ビットや新DBなど、新しいプラットフォームへの対応が急務のようですが、こうした変革により、業務ソフトは今後どう変わっていくのでしょうか。
和田(OBC) 「Vista」でOSがブロードバンドにフォーカスした64ビット環境に切り替わるので、業務ソフトもネイティブに対応させていきます。例えば、リッチクライアントを「.NETフレームワーク」ベースにして、同一コンピュータ環境下でウィンドウズとウェブの両アプリケーションをウェブベースで動作させることができるようになります。
こうしたウェブベースの環境では、情報系インフラなど、さまざまなソリューションが組み込まれ、企業の業務形態を大きく進化させるチャンスになります。そうした視点に基づいた開発プロジェクトを強化していきます。
相馬(弥生) 現行製品は、05年分から製品コードをかなり変え、次世代に向けた通信機能を強化しました。これまでは、パソコン会計の導入に重点を置いて、法令改正に迅速に対応するなど、製品、機能面を強化する方針をとってきました。しかし、最近では、ユーザーの業務効率を高めることにポイントを置いています。現ユーザーの6-7割は常時接続の環境ですから、業務効率を向上させるために事業経営者向けの融資サービスなど金融関連のサービスを強化しています。
竹之内(弥生) マイクロソフトのプラットフォームに関しては、タイムリーに対応するのが基本方針です。「Vista」に関しても、開発部門で研究を進めています。
宇佐美(OSK) 当社は、ブロードバンドやインターネットの普及を背景に、4年前からウェブ系の業務アプリケーションをリリースしています。従来のクライアント・サーバー(C/S)型の製品もバージョンアップを重ねていますので、2系列の製品を出していることになります。
一方で、今回の「Vista」をターゲットにして、総合的にプラットフォームを見直すべき時期だと判断しています。将来的には、この2系列を1系列に統一すべきだと。
「SQLサーバー2005」については、「SP1」が出ないと(安定した製品化の投入は)厳しいかと思います。しかし、ユーザーニーズというより、こうした新プラットフォームが市場にどんどん投入される時期には、やはり流れに乗ることが重要でしょう。
今まで業務ソフトはバックオフィスとしての存在でしたが、インターネットなどの普及にともなってフロントシステムになり、EC(電子商取引)やSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)などとも連携するようになりました。そうすると、当然、ウェブアプリケーションになっていく必要性もある。
ただ、業務ソフトにとっての一番大事な使命は、まず法改正などにきちんと真面目に対応していくことが基本だと考えています。データーベースは各社と違い、C/S版でオラクルにも対応しています。ウェブ系の業務アプリケーションは現在、SQLサーバーだけに対応していますが、オラクルや「MySQL」などに関する研究も進めています。
原田(応研) 技術的な進歩を図るために、新しいプラットフォームへの対応を積極化させています。「Vista」への対応はそれほどハードルは高くない。「.NETフレームワーク」化を進め、64ビット環境でしっかり動くERPを今春にもリリースします。当社のユーザー企業に対し、より早く新しい環境を提供していきます。
大炊(PCA) 業務ソフトベンダーは、企業の基幹システムを預かっていますので、まず法令改正などに間違いなく対応していくことが重要です。新しいプラットフォームは次々に登場しますが、本来であれば、「枯れたプラットフォーム」に安心できる業務ソフトを対応させることが最もいい図式だと思います。
企業では、ログ管理などデータ処理が増加しているので、サーバーのスペックを上げ、64ビット化する必要性は高まるでしょう。ただ、どのタイミングで、企業に新しいシステムへの変更を提案していくかは、慎重に考慮すべき課題だと思います。
・(後編)に続く