大手卸、05年度は業績不振に

　大手ディストリビュータが2005年度（06年3月期）連結決算で利益減や赤字に苦しんでいる。

　ダイワボウ情報システムは、売上高が3757億5900万円（前年度比0.5％増）と微増だったが、営業利益が47億3900万円（同11.2％減）、経常利益が46億7900万円（同5.4％減）。一方、丸紅インフォテックは、売上高が1491億9400万円（同5.4％増）と堅調に推移したものの、営業損益が1億4300万円の赤字（前年同期は4億8500万円の黒字）、経常損益3億円の赤字（同5億2700万円の黒字）となった。

　ダイワボウ情報システムの連結業績が厳しい結果に終わったのは、パソコン専門店ZOAが連結対象から外れたことが主な原因だが、パソコンを中心にしたハードウェアの低価格化が影響していることは否めない。

　昨年度は、ハードウェアの販売台数がパソコン112万4000台（前年度比5％増）、IAサーバー5万5000台（同46％増）と堅調に伸びたものの、両製品を合わせた売上高は1397億6900万円（同1.6％減）だった。

　今年度は、パソコンで123万台、IAサーバーで6万台とそれぞれ増える見込みだが、売上高は1400億円と前年並みの見通し。松本紘和社長は、「今後も、パソコンの売価下落は進むのではないか」とみている。

　丸紅インフォテックは、昨年8月に稼働した統合ウェブEDIシステム「ビーコン」のトラブルが赤字の原因。梅﨑哲雄社長は、「EDIが機能しない状態が長く続き、営業面で大きなロスが発生した。これにより、04年10月に合併したソフトウェア専門のディストリビュータであるコンピュータウェーブとの統合効果を最大限に出せなかった」としている。売上未達による各事業の営業利益は、コーポレート事業で8億6000万円の減少、コンシューマ事業で1億7000万円の減少だった。

　そのため、今年度は両社ともハードウェアを流すだけの卸事業から脱却し、扱う製品の多さを武器に、さまざまなニーズに対応できるシステム提案型のディストリビュータへの変貌を標榜している。

　ダイワボウ情報システムは、「セキュリティ」や「サービス＆サポート」「データベース・ミドルウェア・ライセンス」「デジタル情報家電」「バックアップ関連」といった分野を重点事業と位置づけ、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせたビジネスを拡大。重点分野での売上高については、今年度に700億円（前年度比17％増）を見込んでいる。

　丸紅インフォテックも、「システムのトラブルは解消した。今後は、ハードウェアとソフトウェアによる統合ソリューション提案を一段と加速させる」（梅﨑社長）としている。

　ディストリビュータを取り巻く市場環境は、製品売価の下落などが影響していることから、利益を確保することが難しい状況にある。さまざまなメーカーから製品を仕入れる強みを生かし、多くの取扱製品から顧客ニーズに適したシステムを提案できることが、ディストリビュータの生き残る道になる。 佐相彰彦●取材／文