日立製作所（古川一夫社長）は、今年度（2007年3月期）下期からブレードサーバーの間接販売に本腰を入れる。導入企業のすそ野を広げるため、9月中旬に中規模システムに適した新ラインアップ「BS320」を出荷するが、営業展開の拡大には代理店経由の販売が不可欠と判断。これまでの直販主体から、代理店を経由した間接販売にも販路を広げる。「BS320」は、下期の目標販売台数のうち約半分が代理店経由になるとみている。下期のブレードシンフォニー全体の目標販売台数は前年同期比3倍（国内市場）を見込み、25％のシェア獲得を掲げる。

下期、出荷目標は全体で前年同期比3倍に

　日立は9月にブレードサーバーの新モデル「BS320」を出荷開始する。メインフレームやUNIXサーバーからの移行など、大規模システムでの利用に適した「BS1000」の下位モデルで、PCサーバーの統合や中堅企業向けERPのプラットフォームとしての利用に適している。大企業だけでなく、中堅企業以下のユーザーも視野に入れたブレードサーバーで、シェア拡大のための戦略商品と位置づけている。PCサーバーからスムーズに移行できるよう100V電源にも対応するなど中堅システムでの活用を想定した、他社にはない機能を搭載している。

　BS1000の販売は直販が多かったが、BS320についてはターゲットとなる企業が多く、直販主体では幅広くアプローチできないと判断し、SIerなど代理店を通じて販売する仕組みを強化することにした。

　まず代理店がブレードサーバーを使ったシステムを容易に設計できるように、用途別に分けた4つの導入モデルケース「ベースモデル」を設定。システム構築に必要なツールをセットにした。

　導入支援サービスも提供する。具体的には、①クイックスタート②かんたん運用③ストレージセット④自動回復で、日立によればこの4ケースで過去のブレードシステム開発案件の80％をカバーしているという。また、見積もり時間を従来の約5分の1に縮められる専用ツールも用意した。

　ブレードサーバーの導入には、一般的なIAサーバーのスキルや知識だけでなく、ブレード独自の知識と技術が必要になる。代理店には敷居が高い商材だが、「ベースモデル」の提供でそれを解消する狙いだ。間接販売の拡大のため、独立系SIerとディストリビュータの有力会社を15社選び出して、ブレードシンフォニーの強みやBS320の特徴などを訴求して、取り扱いを増やしてもらうよう戦略的に交渉に臨む。

　一連の施策により、同社では今年度下期のブレードの国内販売台数を前年同期比3倍と見込み、同市場で25％の販売台数シェアを目指す。また、海外市場も含めた全体では、ブレードサーバーを格納するシャーシの販売目標を06年度末で累計4000シャーシ（05年度までの累計は750シャーシ）としている。中堅規模システム以下のBS320の販売台数のうち、代理店経由の販売が約半数を占める見込みだ。

　IAサーバーのなかでブレードが占める比率は約5％とまだ小さい。だが、ユーザー企業からの旬の需要であるサーバー統合ニーズ、レガシーシステムからの移行需要を満たす製品として、存在感が高まることは必至だろう。

　ブレードサーバー市場のシェア争いは、日本IBMが一歩先行しており、日立や日本ヒューレット・パッカード（日本HP）、NECが追随する構図。日立は中規模向けの新製品投入と代理店販売の強化で、まずは日本IBMを追う最有力対抗企業の座を狙う。