世界市場でも同時発売

　ソフト開発のジャストシステム（浮川和宣社長）はXMLの開発・実行基盤のxfy（エクスファイ）の販売を本格化させる。これまで無償でのダウンロード提供は行っていたが、価格をつけて本格的に販売を始めるのは今回が初めて。世界同時発売で9月22日から出荷を始めた。まずはIBMの最新データベース対応版を発売し、年内をめどにオラクルのデータベース対応版も投入する予定だ。

　xfyはXMLデータの再利用やXMLデータをベースとするアプリケーションの開発基盤などを統合的にパッケージ化したジャストシステムの主力製品だ。XMLデータベースを活用するためのフロントエンドシステムの位置づけでデータベース開発ベンダーであるIBMやオラクルの製品への対応を進めてきた。

　今回販売を始めたのは、IBMの最新データベース「DB2 9」に対応した「xfyエンタープライズソリューション・フォー・DB2 9」で、1サーバー50クライアントライセンスの価格は750万円（海外では7万5000ドル）から。

　「DB2 9」は従来のリレーショナルデータベース方式とXMLデータベース方式のハイブリット版で、xfyは両方式の差異を意識することなく横断的に利用できるようにした。年内をめどにオラクル版も投入する予定。

　具体的な価格をつけて発売したことにより今年度（2007年3月期）下期には、xfy事業で本格的な売り上げが計上できる見通し。浮川社長は「世界規模で引き合いが急増している」と手応えを感じている。

　xfy事業の欧米市場における今年度の売上高は3億円余りの見込みで、国内を中心とするxfy関連の売上高と合計して12億円弱を見込む。来年度には国内を含むグローバルでのxfy関連の売上高を63億円に増やしたうえでxfy事業の単年度黒字化を目指す。

　再利用しやすいXMLデータで文書などを管理する動きは世界規模で急速に広がると見られており、この波に乗ることでxfy事業を拡大させる。XML対応を進めるデータベースベンダーの動きを見ながらXMLをよりスムーズに活用する基盤としてグローバル展開を目指す。

【用語解説】
「xfy」とは

　これまでXMLデータをクライアント側のブラウザで閲覧するためにはXMLデータをHTMLなどに変換する必要があり、XML特有の付加情報を活用できなかった。

　xfyではXML対応の「DB2 9」に収納されたXMLデータをクライアント側で自由に編集、加工できる。またグラフィカルなユーザーインターフェースを使ったXMLベースのアプリケーション開発も容易に行えるなどの特徴がある。XML対応データベースの能力をフルに引き出すフロントエンドシステムとして引き合いが期待できる。