より実態に近い統計数値を視野に

　経済産業省は特定サービス産業実態調査（特サビ）の「情報サービス産業」について、3年後をめどに大幅に見直す。これまでも業務内容について「データ入力・作成」を削除し、従業員数と就業者数を区分するなど改善を重ねてきたが、インターネットやパソコン、携帯電話に代表されるICTのコモディティ化や、ネット系新興企業の台頭などを背景に、より実態に近い統計数値の把握をめざす。

　特サビ「情報サービス産業」については、1998年実施分から事業所の捕捉方式を地方経済産業局所管に移行し、01年実施分から調査対象の範囲を市区部から全国に拡大している。その結果、98年の対象事業所数は前年の6092件から8248件に急増、01年は7554件に減少した。時系列の一貫性が保たれていない欠点はあるが、その時点ごとの実態を反映しているといえる。

　これについて経産省統計調査局が中心となって、02年度から新しいビジネス環境に適応した業種分類、業務区分などの検討が行われていた。なかでも統計データの収集について、生産額ベースか消費額ベースかが論点となり、統計分析手法の改定が必要とする方向性が示されている。

　特サビでは都道府県ごとの産業規模を算出するために、事業所単位で業務別売上高、従業員数、就業者数の回答を求めているが、情報サービス産業界内から、事業所単位でのデータ算出が困難とする声が上がっていた。それに加えて改正派遣事業法に伴う課題や新ソフトウェア会計実務規定が示され、受注額から外注費を差し引いた実売上高ベースで集計すべきとする指摘もある。産業規模が実態より水増しされているのではないか、という疑問が底辺にあるからだ。

　こうしたことから経産省では当面の方策として、「情報サービス産業」の業務について見直すとともに回答項目を改める。情報サービス産業協会など関連団体に意見を求めている段階。これと並行して、事業所単位の調査から本社単位に転換することを検討している。より実態に近い数値を、適正な施策運営に役立てたい考え。

　業務項目の見直しや回答項目の改善などにより、ネット系新興企業をはじめ、デジタル・コンテンツ・サービス業やWeb／ホームページ制作業、一般派遣業型ITエンジニアリング業などに対象領域が拡大することも考えられる。また第二弾として業種分類そのものを見直すとしている。

　新しい枠組みの策定と並行して、情報処理推進機構（IPA）などの関連機関を軸に検討が進められている「公共調達における情報サービス会社の格付け」、あるいは業界の一部で必要性が指摘される「ソフトウェア業法」論が浮上する可能性もある。