オープン・インベンション・ネットワーク（OIN）は、昨年11月の設立以来、1年足らずの間にLinux関連特許を約100件保有した。来日した同社のジェリー・ローゼンタールCEOが明らかにした。また、「資金は潤沢であり、今後も、必要と思われる特許を取得していく」との姿勢を示した。

　OINは昨年11月、米IBM、米ノベル、蘭フィリップス、米レッドハット、ソニーの5社が出資して設立。今年9月には、NECが新たに出資している。

　出資者から募った資金をもとに、Linuxに関する特許を取得するとともに、これを無償で提供。さらにLinuxに関する特許を多くの企業が無償で利用できるように、申し入れや管理を行うことなどを目的に設立した。

　ローゼンタールCEOは、「Linuxは、発明および革新が、協調のうえで誕生している。その一方で、従来とは異なる特許に関するポートフォリオが求められている。OINでは、Linux環境における参加企業への便益提供と保護を目的に、特許ポートフォリオを構築する。Linuxに関する特許や、関連する分野の技術特許を取得し、Linux環境に対して特許権を行使しないことを条件に、いかなる企業や団体、個人にも、これを無償で提供する。Linuxを守るためのポートフォリオをつくる」と、同社の活動方針を示した。

　これまでの1年間の活動としては、コマースワンの倒産にあわせて、Linuxに関する35件の特許を1500万ドル（約18億円）で取得したほか、特許申請中の技術を含めて、100件近い知的財産権を保有していることを明らかにした。「Linuxビジネスをリスクが少ない形で推進できる基盤が整った。Linuxで使用されていながらも、これを競合となる企業も必要とするものから優先的に入手しており、今後も、Linuxの利用環境を保護、維持するというディフェンシブな観点から関連特許を入手していく」とした。

　なお、過去1年間に特許取得にかかった費用や、各社の出資金額については公表していない。

　「私の経験から見ても、いまの保有資金は潤沢であり、資金確保を目的に新たな出資企業を募る考えはない」としている。

　ローゼンタール氏は、米IBMで知的財産権のライセンシング業務を担当するなど、知的財産権分野では40年以上のキャリアを持っている。