販売代理店間の連携促進がカギ

　マイクロソフトが力を注ぐ販売代理店を対象とした「マイクロソフト・パートナープログラム」。年を追うごとに強化を図っているが、果たして効果は出ているのだろうか。

　早稲田哲夫・業務執行役員ビジネスパートナー営業統括本部長は、「（11月初旬の時点で）エントリーレベルの『登録メンバー』を含めたパートナー数は6000社以上に達している。そのうち、『認定パートナー』や『認定ゴールドパートナー』は1000社弱にのぼる」と自信をみせている。前年と比べ、登録企業数が2000社弱、認定企業が200社は増えたという。これは、販売代理店が得意な分野でパートナープログラムに登録できる「コンピテンシー」を導入したことにより、これまで中心だったリセラーのほかにSIerやISV、コンサルティング会社など、さまざまなベンダーが登録するようになったためだ。早稲田統括本部長は、「コンピテンシーをベースに、パートナー各社に合わせて支援できるようになった」としている。

　最近では、販売代理店のISVやSIerを対象に来年1月に発売予定の「Windowsビスタ」など最新技術を活用したシステム・サービスを提供できるようにするための検証ラボも用意。登録企業数が増加していることから、「パートナーから、メリットのあるプログラムとして認められつつある」（早稲田統括本部長）と断言する。ダレン・ヒューストン社長も、「売り上げの96％はパートナー経由。協業モデルを徹底していることで、パートナーとユーザー企業、当社がWin─Win─Winの関係となり、競争力の高いビジネスを手がけられるようになっている」としている。

　マイクロソフトが販売代理店に対して支援強化を徹底しているのは、ワールドワイドで共通している。同社が11月6日に日本で開催したパートナーカンファレンスで、米国本社のスティーブ・バルマーCEOが「当社はパートナーシップを強化することをコミットしている」と改めて強調したほどだ。しかも、「各地域で事業を拡大するためには、ローカル性を重視しなければならない。日本は重要な市場のひとつだ。そのため、何十億ドルの単位で投資しており、パートナー支援でも大きな予算をつけている」とも表明している。

　しかし、課題も残る。販売代理店の増加による“マイクロソフト離れ”を招く恐れがあることだ。同社にとって、販売代理店の増加は流通網が広がるというメリットになる一方、販売代理店にとっては競争激化につながる。実際、「登録メンバーと比較すると、認定パートナーが少ない」（早稲田統括部長）と認める。

　パートナープログラムが販売代理店に一段と高いメリットを感じさせるには販売代理店間の連携を強化する必要があるといえそうだ。パートナープログラムに登録されたソリューション案件はこれまで1000種類以上、そのうちSMB（中堅・中小企業）案件は200種類という。ところが、「なかでも、SMB分野では爆発的に需要を増やす“キラーソリューション”があるわけではない」という。

　各社のシステムやサービスを組み合わせ“キラーソリューション”を創造することも、「認定パートナー」を増加させるための要因と思える。