デジタル複合機（MFP）に搭載する文書管理システムなどのソフトウェアを開発するリコー100％子会社のリコーソフトウエア（高田外志男社長）は、これまで開発したソフト群をコンポーネント化（部品化）することを計画している。MFPが業務システムや基幹システムなどと連携するニーズが高まっていることから、ソリューション開発を効率化するのが狙い。同社ではこれまで、文書管理やセキュリティ、アクセス制御など多岐にわたるソフトを開発。これらをコンポーネント化することで、ソリューション開発の納期短縮や品質の向上、コスト削減を図る。

　リコーソフトウエアは昨年1月、リコーのソフト開発関連会社5社を統合して設立された。

　「i－MFP（intelligent－multi function Printer＝高付加価値デジタル複合機）」という独自の考えを志向し、MFPと既存の業務システム、基幹システムをソフトで連携させ、ユーザー企業の業務プロセスを変革するソリューションを提供している。

　リコーには、自社のMFPやレーザープリンタにユーザー企業の要望に応じた利用環境にするJava準拠の開発プラットフォーム「Embedded Software Architecture」がある。リコーソフトが開発したソフトは、基本的にこの上位層で稼働する。この部分をコンポーネント化することで、ソフト間連携やユーザー企業が必要とする部品同士を簡単につなぐことができるようになるという。

　これまでに同社が開発したソフトは、FAXやスキャナで読み取った帳票などの「手書き漢字」を自動的に読み取る「伝匠」や機密文書の管理・配信・交換をネット上で安全にできる情報漏えい防止システム「鍵匠」、ISMS（情報セキュリティマネジメントシステム）適合性評価制度を取得・維持するために作成中の文書にスタンプを挿入し、文書属性を管理する「Office Stamper」など、独自のソフトを開発した。

　また、ユーザー企業と共同開発したソフトも多数あり、導入事例を基にソフトを業界内へ「横展開」する体制が整いつつある。こうしたソフトを連携させ、相乗効果を生み出そうとしている。

　高田社長は「これまでは、リコー向けにMFPの組み込みソフト開発やソリューション開発（Inside）することに主眼を置いてきた。今後は、リコーグループの販売会社と一緒に（With）、ユーザー企業のニーズに応じた個別のソリューション開発を強化する。さらに、当社が培った技術を核にして、直接企業へ販売（Outside）する独自チャネルを開拓し、グループ以外のSIerとの連携も拡大する」と、販売パートナーを増やすことで、売上高に占めるソリューション販売の比率を高めるという。