ジャストシステム（浮川和宣社長）はエンタープライズ事業の販売網構築に乗り出した。XMLの開発・実行基盤のxfy（エクスファイ）を主力製品としてグローバルで社内スタッフ500人規模の販売体制を今後3年をめどに整備する。エンタープライズビジネスの経験が豊富な田上一巳氏を同事業のトップに迎え入れ、米IBMや日本オラクルなど主要なデータベースベンダーとも提携した。国内では100社程度のビジネスパートナーを集める。

　ジャストシステムの主な海外営業拠点はカナダと米西海岸、英国の3か所だが、米東海岸とドイツにも新たに拠点をつくる。東南アジアの拠点開設も検討している。2年後の2008年度（09年3月期）には日米欧の主要市場で、計約140億円のエンタープライズ事業売り上げを目標に掲げる。金融の中枢であるニューヨーク、製造業が強いドイツに進出することで欧米市場における金融、製造業の納入実績を増やしてビジネスを有利に進める考えだ。

　同社はこれまで国内事業が中心だったため、グローバル展開のノウハウが乏しかった。今回、ビジネスインテリジェンスやEAI（エンタープライズアプリケーション統合）、グループウェアなど主に外資系パッケージソフトベンダーの要職に就いてきた田上氏をエンタープライズ事業のトップ（執行役員xfyエンタープライズ事業本部長）に迎え入れ、グローバル規模の販売網構築を加速させる。

　当面の売上目標である140億円は、「あくまでも通過点」（田上執行役員）として、中長期的な成長を見越した販売体制をつくる。

　国内では約100社の販売パートナー網を構築する。内訳はメインフレーマや大手SIerで30社、特定業種や地域に強いSIerや案件ベースで協業するSIerなどで70社を想定している。

　日本IBMや日本オラクルなどXML対応のデータベースを開発するベンダーとも密接な連携を図っていく。

　企業内にあるデータのうち財務会計や人事給与など定型的なデータは2割弱しかなく、残り8割強は表計算やテキストなど非定型のデータが占める。XMLはこうした非定型データを記録する標準フォーマットとして期待されている。ここにきてXML対応のデータベース製品が増え、XMLデータを容易に加工、再利用できるxfyが登場したことでXML市場が急速に拡大する兆しをみせている。