ピー・シー・エー（PCA、川島正夫会長兼社長）は、主力製品「PCA Dream21」を他システムと柔軟に連携できる本格的なERP（統合基幹業務システム）に改良する。既存システムと連携に必要な同社独自のコンポーネント「PCOM（PCA Component Object Module＝ピーコム）」に「ラッパー（あるプログラムの返り値を別のプログラムに渡す機能）」を加え、パートナーのSIerやISVなどが提供する内部統制関連の連携製品などとの接続性を高め、簡易にデータ連携できるようにする。来年度（2008年3月期）前半に提供を始める。

　「Dream21」は、各業務モジュールの全機能がウィンドウズのソフト部品「COM＋」で実装されている。この部品をコンポーネント化した技術が「PCOM」だ。ウィンドウズ上で動作する他のプログラムやオフィス製品のプログラム言語「Visual Basic for Applications（VBA）」などにより、「Dream21」のデータを簡単に再利用できる。

　「Dream21」と別システムをPCOMを利用し、リアルタイムに連携させた従来の仕組みでは、「Dream21」で入力した伝票を外部のワークフローに転送するといった作業でシステムの境界が発生して、簡単に連携をすることができなかった。また、法令関連の変更を「Dream21」に加えた場合、データ連携する業務システムとの接続プログラムの変更を必要とするが、作業が煩雑だった。

　こうした改善点を「パートナーの意見を聞いて洗い出し、外部連携機能を強化する一環で見直す」（黒川明宣・Dream21事業部部長）ことにした。

　企業には、内部統制に関連して、伝票登録やデータ変更・各種処理の操作履歴を記録し、データの信憑性を保証することが求められている。そのため、「Dream21」や既存システム、他社のシステムとの連携を容易にすると同時に、データ転送時の整合性や信憑性を保証するシステムへと転換を図る。

　「Dream21」は、年商30－200億円の中堅中小企業への導入が進む。2年前からは、「Your Dream戦略」を掲げ、CRM（顧客情報管理）や生産管理、企業情報ポータルなどの連携ソリューションを強化してきた。

　「PCOM」を改良することで、同ソリューションを拡充できるほか、システムを構築するSIerにとっては、顧客を開拓しやすくなる。今後開発する内部統制関連の追加モジュールの接続性もアップする。

　黒川部長は「『Dream21』の今回の改良は、コンセプト自体が一段上がり、『第2世代』のERPへ向けた開発になる」と、08年4月以降に施行される「金融商品取引法」などに向け、準備を整える方針だ。