NIer（ネットワーク・インテグレータ）のネットワンシステムズ（澤田脩社長）は、メッセージ・ルータ「VRS／32」シリーズを4月1日から販売開始した。同社では、ネットワーク基盤とアプリケーションサービスをつなぐ次世代サービスプラットフォームとの見方が強い「メッセージング・ネットワーク」のビジネス領域に参入することを視野に入れており、今回の製品がその第一弾となる。

　メッセージ・ルータのVRS／32は、ネットワーク機器メーカーであるカナダのソーラス・システムズの製品で、XMLベースでデータ配信するネットワークの構築が可能。ネットワーク基盤とアプリケーションサービスをつなぐ部分をアプライアンスで提供することが特徴だ。

　コンピュータ環境に依存しないXMLのテキストがデータの標準フォーマットになりつつあり、ビジネス要件に柔軟で迅速に対応可能なシステム構築のアーキテクチャ「SOA（サービス指向アーキテクチャ）」に基づいたウェブサービスに対するニーズが高まっている。こうした環境のなか、ネットワンシステムズは「ネットワーク側からユーザー企業が求めるソリューションを提供していく」（福原英之・NWテクノロジー本部サービス事業開発部MRプロジェクトチームリーダー）との考えから、ソーラス・システムズと国内で初の代理店契約を結び、同製品の販売に踏み切った。

　通信業界では最近、NTTグループの“NGN構想”をはじめとした次世代通信網システムの構築で、IPネットワーク基盤とアプリケーションの間に位置し、それぞれのインタフェースとして機能する“中間層”が新しいサービスプラットフォームとして注目を浴びつつある。しかし、中間層の部分はこれまでアプリケーションベンダーなどが各システム案件に応じてミドルウェア開発などで補っており、「顧客ニーズに応じたカスタマイズを行っていたため、SOAベースのシステム構築は莫大なコストや手間がかかっていた」という。そのため、同社では「中間層を“メッセージング・ネットワーク”領域と位置づけてビジネス着手を進める。アプライアンスで簡単にアプリケーションとネットワークがつながることを訴えていく」としている。

　同製品の販売先として、まずはコンテンツサービスプロバイダや通信事業者などを対象とする。今後は、「通信プロトコル変換が可能な『メッセージ・メディエーション』の販売を検討する」としている。