東芝ITサービス（石橋英次社長）は基幹システムのリモート運用事業に着手する。商用化に向け、社内システムを遠隔地から試験的に監視。これが成功すれば、2007年度（08年3月期）下期から本格的にサービスを開始する。

　ベンダーが提供するリモート運用のメニューは、アプリケーションサーバーやネットワーク、セキュリティなどが主流で、基幹システム向けは珍しい。石橋社長は、「他社と異なったサービスで既存顧客を囲い込む」としている。加えて、サポートに新しいサービスを付加することから、「システム構築の新規顧客を開拓することにもつながるのではないか」と、親会社の東芝ソリューションが手がけるSI事業の拡大に寄与することも期待している。システム導入企業の増大でサポート顧客が増えるという循環の構築に力を注ぐ。

　サービス開始に向け、07年度早々に東京・府中にある本社の基幹システムを別の場所にあるデータセンターで遠隔監視しているという。基幹システムの遠隔監視に着手できないベンダーが多いのは、保守サポート会社のスタッフによる常駐要員がいないことに不安を抱くユーザー企業が多いためだ。「まずは当社内で試験的にリモート運用を行い、不具合がないことを実証すれば、サービスを提供する際もユーザー企業の納得が得られるはず」としている。基幹システムの遠隔監視が可能となれば、ユーザー企業に常駐できる人員が少人数でもサポート・サービス事業を手がけられるようになる。同社としても、人員を大幅に増やさなくても業績を伸ばせるビジネスモデルを構築することが狙い。“人材不足”が叫ばれている保守サポート業界に一石を投じるサービスになりそうだ。

　また、「“パートナー保守”と称してベンダーとのアライアンスも積極的に進めていきたい」意向を示している。