NEC（矢野薫社長）が国内ブレードサーバー市場で今後3年以内にトップシェア獲得の方針を打ち出した。ブレードサーバーを核に、クライアント端末やストレージ機器を含めた“プラットフォーム統合”を武器にユーザー企業の拡大を図る。昨年度（2008年3月期）後半から新規顧客として開拓を本格化させた中堅企業への拡販も引き続き強化していく。（佐相彰彦●取材／文）

　今年度、ブレードサーバーで拡販に重点を置いているのがサーバーを10－50台程度設置する中堅規模システムだ。内部統制へのシステム投資は大企業では一段落しつつあり、今後は中堅企業によるブレード導入が活発化するとの判断からだ。山科俊治・クライアント・サーバ販売推進本部長は、「運用の効率化を視野にインフラ基盤の統合が大企業だけでなく中堅企業まで広がっている。また、サーバーではブレードがますます伸びるという状況だ。そこで、ブレードサーバーを中核として、システム統合のプラットフォーム提供に力を注ぐ」としている。

　NECが掲げるプラットフォームは、サーバーとストレージ、クライント分野の各システムを統合して提供するというもの。サーバー統合が可能なブレードシステム「SIGMABLADE（シグマブレード）」を中心に、ストレージ機器「iStorage（アイストレージ）」と、仮想PC型シンクライアントシステムの「VirtualPCCenter（バーチャルピイシイセンター）」を組み合わせる。ソフトウェア「Sigma SystemCenter（シグマシステムセンター）」でシステム統合管理を可能とした。実際、「中堅の証券会社やネット関連企業などで導入実績が出ている」という。

　統合プラットフォームの提供を加速するため、重要なカギと位置づけているのが販売代理店経由での販売。サーバー統合という点だけでも、ブレード販売に対して“敷居が高い”と意識している販売代理店が多いだけに、「教育プログラムの充実が必要」と判断。そこで、NECのパソコンやサーバーを販売する代理店360社のSEを対象とした教育カリキュラム「SIGMABLADEパートナープログラム」を提供。「3年間で100社が“認定パートナー”になることを目指す」としている。

　PCサーバーの販売台数は、昨年度が前年度比26％増を達成。マーケットシェアではトップを確保している。「今年度も、同程度（25％以上）の成長率を維持する」と言い切っており、その原動力のひとつになるのがブレードサーバーの対象ユーザーを、中堅企業にまで広げることというわけだ。

　PCサーバー全体ではトップに君臨しているものの、ブレードサーバーでは市場での競争に拍車がかかっているため、なかなかトップを獲得できないのが実情。しかし、プラットフォーム統合という観点でサーバー販売だけでないビジネスモデルの構築で、「3年以内に必ず首位の座を射止める」と鼻息が荒い。