ウィプロ・テクノロジーズ
日系企業の需要取り込み狙う

　インド系SIerのウィプロ・テクノロジーズ（アリイ・ヒロシ社長）は、中国の開発体制を大幅に強化する。今後2－3年で3000人規模に拡大させる。日系企業が中国への進出を加速させていることを受けて、現地でのシステム開発やアウトソーシング事業の受注拡大を狙う。国内SIerも中国への進出を急いでおり、「互いに連携して日系企業向けのITサービス拡充を図る」（アリイ社長）ことも視野に入れる。

　同社は国内に約350人、中国に約280人、インド本国などに約1400人の総勢2000人体制で日本を中心とする東アジアのIT投資に応える体制を整えてきた。

　昨年度（2007年3月期）のグローバルでの連結売上高の伸び率は前年度比約40％増の約34億ドル（約4080億円）と急成長したが、国内では同約3割増とグローバルに比べて伸び率が低かった。日本と距離的に近い中国での開発体制を強化することで事業拡大を目指す。

　中国での開発体制の強化は、グローバルの伸び率と同等かそれ以上に伸びていくための布石のひとつだとしている。これまでにもソフト開発の高い成熟度を示すCMMIレベル5をいち早く取得し、業種別の開発体制を整えるなど競争力を高める施策を打ってきた。今後はグローバルに開発拠点を展開する強みを生かして、海外進出する大手日系企業など“優良顧客”の獲得に力を入れる。

　具体的には今後2－3年で中国の人員規模を現在の約10倍に相当する3000人規模へ拡大させる。現在、東アジアの開発拠点は主に中国・上海と横浜の2か所だが、年内にも中国に開発センターを新設して計3か所に拡充する。アリイ社長は日本法人の社長であると同時に中国での事業展開も担当しており、国内と中国を統合的に運用していくことで国内顧客の需要を取り込む考えだ。

　日系グローバル企業の海外進出をITの側面で支えるべく、国内大手SIerも海外進出を模索している。一歩先に海外ネットワークを構築している同社では、元請けでの受注を拡大する一方で、国内SIerとの連携にも力を入れる。「海外でのサービス網の拡充を進めたい国内SIerにとって、当社は力強いパートナーになるはず」と、相互補完の関係づくりに意欲を示す。

アーク情報システム
スパム対策ソリューション発売
1年間で売り上げ2億円を目指す
サービス拠点拡充に重点

アーク情報システム（藤井悦郎社長）はスパムメール対策ソリューションを発売した。国内で迷惑メールが急増していることから、需要があると判断した。同社がBtoB向けにセキュリティ製品を販売するのは初めて。直販と販売代理店を介して販売し、1年間で200セット、2億円以上の売り上げを目標としている。

　同社が販売するのは、韓国で40％以上ものシェアを持つ、Jiran soft社の「SpamSniper（スパムスナイパー）」。

　昨今、国内で迷惑メールが急増していることから、需要があると判断、発売にいたった。同社がBtoB向けにセキュリティ製品を販売するのは初めてのこと。

　同社では国内での販売代理店を増やすとともに、製品を全国展開するために、サポート、教育などを行うパートナーを募り、サービス拠点を拡充していく計画だ。

　また、韓国にあるAnti Spam Lab（アンチスパムラボ）が行っているパターン更新などの管理機能を、年内には同社に移行したいと考えている。現在は販売代理店の位置づけだが、将来的には国内総販売代理店となることを視野に入れている。

　同社では「スパムスナイパー」を1年前からテスト検証してきたが、スパム遮断率が95％を超え、誤検知もなかったという。個人ユーザーごとに詳細な設定ができ、「アプライアンスで提供するため導入しやすい」（新国竜也・CIS営業部課長）のも利点だ。

　1年間で200セット、2億円を目標としている。同社では性能の高さから、口コミで他社製品とのリプレースが進むのではないかと見込んでいる。実際、同製品の評価を頼んだSIerがそのまま顧客に製品を持っていき、成約に結びついたケースもあるという。