組み込みソフト開発大手のコア（井手祥司社長）は、超高性能GPS（全地球測位システム）を軸としたビジネスが年内にも立ち上がる見通しを明らかにした。半導体開発会社などと協力して開発してきた独自のGPSチップがカーナビゲーションメーカーなどに採用される見通しで、これに関連する組み込みソフト開発も見込めるという。ここ数年来、コアだけでも3億円余りを投じて開発してた虎の子製品で、今後は「携帯電話メーカーへの売り込みにも力を入れる」（崎詰素之・取締役専務執行役員）と鼻息が荒い。

　コアは半導体設計開発のマゼランシステムズジャパンなどと共同で超高性能GPSチップの開発を進めてきたが、サンプル品の小型化に手間取るなどして、ビジネスの立ち上がりが遅れていた。当初は携帯電話向けを念頭に開発を進めてきたが、ここにきて高性能GPSシステムを必要とする「カーナビメーカーから先に引き合いがきた」ことから、ビジネスが本格化してきた。

　開発したGPSはチップ本体の性能が高いのに加えて、外部サーバーから補正情報を受けることで建物の中やビルの陰でも正確な位置を割り出せるのが特徴。このため通信能力で携帯電話に及ばないカーナビには不向きと考えられていたが、「チップ単体でも従来品より大幅に性能が高い」ことが判明。早ければ年内にも3社ほどのカーナビメーカーと契約できる手応えを得る。

　今回販売するGPSは、ライセンス料に加えて最終商品が売れた個数だけロイヤリティ（使用料）が得られる契約になる見通し。GPS回りの組み込みソフト開発の受注も見込める。これまでは一過性の受託型のソフト開発がメインだったが、これに自社製品のライセンスやロイヤリティが加わることで収益の安定化が期待できる。最終製品がヒットすれば大きな収益源になる可能性もある。順調にいけばコアにとって初めての本格的なロイヤリティビジネスになる。

　サンプル品の小型化も急ピッチで進めており、これに関連してコアでは今年度（2008年3月期）さらに1億6000万円規模の継続投資を行う予定で、「必要ならばさらに上乗せする」ことも視野に入れるという。小型のサンプル品ができれば、カーナビよりも小さなモジュールを必要とする携帯電話メーカー各社との商談にも弾みがつく。「GPSの感度は世界最高水準」と複数のメーカーからお墨付きを得ているといい、来年以降はより積極的に世界市場に打って出ることで、組み込みソフトビジネスの拡大を狙う。