マルチベンダー対応で新収益基盤を

　3期連続減収減益という厳しい業績に苦しむNECフィールディングが、2007年度から成長戦略へと転換する方針を掲げた。片山徹社長は、「ターンアラウンドをキーワードに、今年は積極策に打って出る」とし、既存事業のテコ入れと、新規事業へと取り組む姿勢をみせる。

　過去3年にわたる同社の減収は、既存保守事業の売り上げ減に起因している。対象となるサーバーの台数が増加しても、サーバー単価そのものが下落することにより、契約保守費用が減少。05年度では年間100億円規模の減少を余儀なくされた。06年度実績では約50億円にとどめたが、今後も40─50億円程度の減少は避けられそうにない。

　サーバーの品質向上で壊れにくくなったことが、保守、サービスの減少へと直結しているのも見逃せない要素。さらには、低価格サーバーの登場によって、情報系システムを中心に、壊れたら置き換えるというトレンドが勢力を増していることも見逃せない。

　NECフィールディングの挑戦は、既存ハード保守事業の拡大に見切りをつけ、ソフトまでを含めたシステム保守への拡大と、NEC以外の製品にも対象を広げるマルチベンダー対応により、新たな収益基盤を確立するところにある。同社の現陣容では、アプリケーション領域までをカバーするのは難しいが、OSやミドルウェア領域までの対応は可能。約4500人のCEのうち、ソフトまで対応可能な約500人のアドバンスドCEを、今後1年で1000人にまで増員する計画だ。一方、マルチベンダー対応では、NECと提携関係にある日本ヒューレット・パッカードやサン・マイクロシステムズ、EMCなどのほか、ユーザー企業の要求によっては、これまで対象外だった外資系PCメーカーの保守までを請け負いはじめている。「当社が直接修理できなくても、窓口をワンストップ化することができる。どこに問題が発生しているのかを切り分けるといった、ベネフィットも提供できる」（片山社長）。

　これら事業の拡大によって、保守事業全体で、前年並みの実績を維持する体制へと転換させる考えだ。

　とはいえ、保守事業にかかわる課題はほかにもある。国産ベンダーに多いのが、保守対象となるPCやサーバーが明確化されていないことだ。クライアントPCを100台導入したユーザーが、20台を保守契約したとしても、その20台がどれか特定できないという契約内容になっている例もある。これも保守事業の収益性を悪化させる遠因になっている。

　また、メーカー直販部門が保守契約を積極的に営業しないという実態も見逃せない。とくに、NECグループの保守および運用領域における売り上げ拡大策の遅れは明白だ。NECは今年6月、営業部門内にサポート・サービス部を新設したのを機に、同社から保守営業を担当する社員を出向させ、売り上げ拡大を目指す。

　同社は、今年創業50周年を迎えた。3月の記念日にはあえて式典を見送った。だが、上期に増収増益を達成すれば、秋には記念式典を開きたいという。その実現には、新たな保守事業領域で基盤を確立し、上期にターンアラウンドを実現できるかがカギとなる。