NEC（矢野薫社長）は、今年6月に提供を開始した「オンデマンド型ネットワークサービス」で、これまでのネットワークシステムの常識を覆そうとしている。一方、同社の販売代理店にとってはビジネスモデル変革が迫られている状況でもある。

　同サービスは、従量課金方式でネットワークシステムを提供するのが特徴。ユーザー企業は、PBX（構内交換機）をはじめLANやWANの機器・回線を自社資産として保有しないことから、ネットワーク運用にかかるコストを削減できることに加え「組織再編やM＆A（企業の合併や買収）などの変化にともない、社内ネットワークを構築しなくてもよくなる」（八田孝・マネージドネットワークアウトソーシング事業部長）としている。対象ユーザーは4000－5000人の大企業。次のサービスとして「モバイルセントレックスサービスの提供も視野に入れる」という。

　しかし、同サービスはNI（ネットワークインテグレーション）業界に波紋を起こしつつあるのも事実。現段階では、先進的な大企業だけが導入を検討するという状況であることから大きな影響は出ていない。

　SMB（中堅・中小企業）にユーザーのすそ野が広がってくるとなれば、SMB市場を主戦場とするNIerやネットワークディストリビュータにとっては機器販売やシステム提供というビジネスが手がけられなくなる。

　八田事業部長は、「このサービスで他社のマーケットを奪うことが狙い。販売代理店にとっては当社のユーザー企業が増えればメリットになるのではないか」とみている。ネットワークのオンデマンド化が一段と広まることになれば、販売代理店に対する支援制度などの改定も必要になってくるといえそうだ。