総合／複合提案が顕著に

　大塚商会（大塚裕司社長）の2007年度（07年12月期）連結決算は、売上高が過去最高、営業利益と経常利益が初の300億円超えという好実績だった。同社では、複合／総合提案を一段と加速させた成果が現れたとしている。IT投資が活発化しつつあるとはいえ、先行き不透明な市場環境で業績不振のベンダーも少なくない状況下で成長し続ける理由は何か。このほど開催された「実践ソリューションフェア2008」の展示内容なども含めて、好調ぶりの秘密を探る。（佐相彰彦●取材／文）

■業績は過去最高を更新　効率化を徹底的に追求

　07年度は、連結で売上高4694億8100万円（前年度比8.3％増）、営業利益300億5100万円（14.9％増）、経常利益305億2000万円（15.2％増）、最終利益188億5600万円（20.7％増）だった。大塚社長は、「営業利益と経常利益ともに2ケタ成長、初の300億円超えを達成した」と意気揚々と語る。

　ここ数年、大塚商会は売上高と利益ともに過去最高を更新し続けている。業績が好調に推移しているのは、ストックビジネスに力を注いでいるほか、コンサルティングレベルから踏み込んだ内部統制関連システム提案の追求、CRMとSFAを組み合わせた独自システム「SPR（セールス・プロセス・リエンジニアリング）」の機能強化、プロジェクト管理強化による生産性向上などにグループ全体で取り組んだことが要因だ。なかでも、昨年度は営業支援センターを設置したことで営業活動の効率化が進んだことが大きいという。「利用率が前年度と比べ26.9％増、利用者数が35.7％増」と順調に増えたことをアピール。営業力の強化で収益が増加したことを示している。

　また、以前から進める複合システム提案や総合提案による競争力の向上が好調ぶりを後押しする。大塚社長は、「（複合／総合提案が）前年度と比べ6.1％はアップした」と評価する。プリンタや複合機をはじめ、ネットワークや電話回線といった通信基盤、サーバーやストレージなどコンピュータインフラ、アプリケーション提供など、情報通信に関する製品・サービスを大量にそろえていることが功を奏していることを物語っている。

　ただ、課題がないわけではない。利益率の低いシステム案件を獲得するケースがまだあることだ。大塚社長は、「第4四半期に利益率を引き下げてしまう大型案件を受注した」と認める。その案件はハード主体で、「最後の追い込みだったこともあって受注することにした」と、事情を説明する。こうした傾向は、往々にして各部門で予算達成が難しい時に現れる。「今後は部門の壁にこだわらない取り組みも進めていく」と、複合提案や総合提案の追求に余念がない。

■連携ソリューションを拡充　新しい業務形態を多く展示

　複合提案や総合提案が着々と進んでいる事実は、同社が2月に開催している恒例の「実践ソリューションフェア2008」でも垣間見ることができた。

　今回のフェアのテーマは、「おしごと2.0 Anywhere！いつでも、どこでも、快適おしごと」。6分野のカテゴリーに分けて約200種類の製品・サービスを展示したほか、セミナーとして「特別セミナー」8コース、「一般セミナー」47コース、「CAD体験コーナー」24コースを用意。“2.0”や“Anywhere”などをテーマに盛り込んだことから、“つながる”や“連携”をコンセプトとした展示やセミナーが多数を占めた。実際、展示会場では初の試みとして“セキュリティ”や“ICカード”をベースとした「ビジネス連携ソリューション」のブースを中央に設置し、ICカードを活用したセキュリティゲート関連の製品・サービスや、シンクライアント端末で可能なセキュリティ強化システムなどを展示。新しいワークスタイルのあり方を模索する来場者が熱心に説明を聞いている場面も多くみられた。

　また、複合機関連の展示コーナーではリコーをはじめ協力パートナー7社で結成した「MFP連携ソリューション・パートナー会」によるソリューションを披露。スキャナで取り込んだ名刺データをパソコンや携帯電話で検索できるシステムや、グループウェアと複合機を組み合わせたシステムなどを展示していた。さらに、今回は新しく携帯電話などモバイルベースの提案も追加したのも特徴的だった。

　フェアで展示した内容は、決して遠い将来に提供するのではない。複合提案や総合提案で多くの案件を獲得しているのもうなずける催しだった。