日本ユニシス、ICT重視を訴求

　日本ユニシスが2008年度戦略の1つにICTサービス重視を打ち出した。

　同社は07年度、二つの大きな動きをみせた。そのひとつは同社子会社のユニアデックスがKDDIと提携したこと。もうひとつは、NIerのネットマークスを子会社化したことだ。NIerを手中に収めた効果を発揮するため、今年1月には、ICTサービスの提供を本格化した。「パワーワークプレイス」といったICT基盤構築ビジネスのコンセプトも打ち出し、ユニアデックスとネットマークスの連携強化を図ったのだ。来年度早々には、組織横断のICTサービス専門部署を設置する。SIとNIの融合を着々と進めているわけだ。

　「ICTサービスの提供を中核事業の1つにしたい」とは、日本ユニシスの籾井勝人社長の言葉だ。もちろん、ICTサービスへのニーズが高まると踏んで力をいれているといえるが、三井物産グループ内でICT関連の主導権を確固たるものにしたいという考えもあるのだろう。並列会社にSIerとNIerの統合で誕生した三井情報がある。まるで、その後を追うようにネットマークスの買収を発表したという経緯があることから、少なからず意識しての行動とみることができる。「三井情報との統合はあり得ないだろう」（籾井社長）と判断していることからも、ライバル視していることは間違いなさそうだ。

　三井グループ内での騒動は置いておくとして、ICTサービスで飛躍しようとしている姿が日本ユニシスグループにはある。現在ユニアデックスの常務執行役員で、今年4月から日本ユニシスでICTサービス分野の責任者に就任する予定の角泰志氏は、「日本のICT企業は、とくに企業向けソフトウェアビジネス分野で、残念ながら欧米企業に遅れをとってきた」と認める。しかし、「日本ユニシスグループは創業から50年のノウハウで、きめ細かく安定したサービスが提供できる」とアピール。欧米企業との差別化を図り、ICTサービスをきっかけにグローバル化を加速させる。その切り口として、インドのソフト開発企業であるインフォシスとの提携も果たした。

　しかし、日本ユニシスのICTサービスビジネスは果たして成功するのか。グループ間の連携をうまく取れるかどうかかが最大の課題となる。「最近は、親会社だからとか子会社だからというのは関係ない。グループ内の一気通貫が重要だ」と籾井社長は言い切る。確かに、日本ユニシスとユニアデックスの連携は強固なものといえよう。しかし、傘下に収めたネットマークスとの連携はどうなのか。ユニアデックスとネットマークスの連携を強化させたとはいえ、「パワーワークプレイス」のビジネスを手がけているなかで営業は別。しかも現段階では、コンピュータシステムのユーザーに対してネットワークも、というように両社の顧客企業にアプローチをかけている始末で、「ICTサービスの提供」を実現しているとはいえない。

　三井情報のようにSIerとNIerが統合したわけではないため、問題はネットワークインテグレーションを親会社の日本ユニシスがいかに理解するかがカギといえそうだ。そうでなければ、他社との差別化が図れる保証はないことになる。