ネットワーク関連ベンダーが日本の通信事業者向けビジネスの拡大を狙っている。さらに、ワールドワイドの業界団体がアジア地域（APAC）を中心に参加企業を拡充する動きも出てきている。アジアのなかでも、とくに日本企業の参加を呼びかけることに力を注いでおり、すでにメンバーに加わった通信事業者もいる。

　イーサネット・サービスを提供する「MEF（メトロイーサネットフォーラム）」は、アジア地域での知名度向上に力を入れている。参加企業の増加が最大の狙いだが、「グローバルで共通したサービス提供に取り組んでいきたい。そのためには、（これまでの体制である）欧米のベンダーだけでなく、アジア地域で参加を表明するベンダーを増やすことが重要」と、ケビン・バーチョンCOOは強調する。そのことを裏づけるように、「日本でのセミナー開催による当団体の知名度向上や、参加に向けたアジア地域の企業との話し合いを進めるなど、具体的な取り組みを積極的に行っていく」（ナン・チェン会長）。実際、NTTやKDDIなど大手通信事業者が最近になってMEFに参加している状況だ。

　標準的なグローバルネットワークの構築を目指す「MSF（マルチサービスフォーラム）」では、「GMI」と呼ばれる検証実験を実施している。昨年には、NTTが同実験に参加。「NTTはアプリケーションサービス配信の点で実験に参加したことにメリットを感じている。（NTTが）今年から来年にかけて、サービス強化に向けたインフラ増強を図る可能性はある」（クリスティン・ハリス・ゼネラルテクニカルコーディネータ）とみている。

　ベンダーや業界団体が日本市場でビジネスチャンスがあると捉えているのは、NTTグループのNGNをはじめ日本の通信事業者が他国と比べてネットワークインフラの増強を図っているからにほかならない。なかでも力を注いでいるのは、回線サービスの付加価値と位置づけるコンテンツ配信の部分。そういった点では、アプリケーションを含めたネットワークインフラの提案により、どのベンダーもビジネス拡大を図ることができる可能性を秘めていることになる。