サイボウズグループで「ガルーン2」のSaaS/クラウド事業を展開するサイボウズ総合研究所(サイボウズ総研)は、TISの社内ベンチャーであるSonicGardenと提携し、「AmazonEC2」環境上で「ガルーンSaaS」が提供できる体制を整えた。
「AmazonEC2」上で「ガルーンSaaS」を提供
サイボウズ総研は、「サイボウズクラウドビジネスパートナープログラム」に参加するパートナーとともに、従業員300人以上の企業に対して「ガルーンSaaS」を拡販している。パートナー企業ごとにプラットフォーム上でサービスを提供していく方針。SonicGardenとの提携もその一環で、SonicGardenのインフラと販売網を活用し拡販する狙いだ。
今回の提携では、サイボウズ総研の「ガルーンSaaS」とSonicGardenが「AmazonEC2」上で2008年11月から展開しているSaaS型の社内SNS「SKIP」をセットで販売し、「ガルーンSaaS」のポータル上に「SKIP」の新着情報を表示する連携などを進める。
サイボウズ総研の「サイボウズクラウドビジネスパートナープログラム」にSonicGardenが新たに参加し、SonicGardenのAmazonEC2の運用ノウハウを活用しながら拡販に努める方針だ。「Webで情報検索して問い合わせてくる企業をターゲットにしていく」(SonicGardenの福田剛広氏)ほか、既存のユーザーにもメールなどで訴求していく。
福田氏は、グループウェアとSNSは親和性が高いとみており、「『SKIP』のユーザーからグループウェアの機能を要望する声があった」と話す。グループウェアとSNSをあわせて利用してもらうことで、さらにユーザーにサービスの訴求ができると期待する。サイボウズ総研のマーケティング本部クラウドマーケット・クリエイションチームの伊佐政隆氏も、「ユーザーには情報共有を進めたいというニーズがある。とくにSNSでは、仕事中ではなく、カジュアルな場で有益な意見が生まれる」と、二つのサービスが相互補完するイメージを描き、相乗効果を狙う。
SonicGardenでは、「SKIP」を商用化する前に自社で検証を重ねてきて、「『AmazonEC2』上で『SKIP』を1年以上運用してきた」(福田氏)という実績がある。同社が提供する「ハイブリッドクラウド」は、1社ごとにそれぞれサーバーを用意し、高セキュリティを担保。福田氏は、「国内ではビジネスユースでEC2を使っている実績はあまりない」と説明する。SonicGardenとしては、アプリケーションの連携でさらなる拡販を目指す構え。サイボウズ総研もSonicGardenの顧客層を取り込んで導入数を増やしていくのは当然として、SonicGardenの運用ノウハウを活用して「AmazonEC2」上でサービス提供できる体制を整える狙いがある。これにより、SaaS/クラウド事業を加速させる。
「ガルーンSaaS」は、300名から1000名のユーザーを中心にリプレースでの導入が進んでおり、一方「SKIP」は1000名以上の大企業20社ほどに対してサポート実績をもっている。ターゲットとしてはズレがある格好で、福田氏は「サイボウズに合わせる」としているが、もともと中堅・中小企業でシェアを伸ばしてきたサイボウズとしては大企業を開拓するチャンスとも受け取れる。SonicGardenにとっても、すそ野を広げる可能性を秘めているといえそうだ。(信澤健太)