日本ヒューレット・パッカード(日本HP、小出伸一社長)は、次世代ITインフラ構築の新戦略として、「HP Converged Infrastructure」を発表した。ブレードサーバーを核に、運用管理ソフトの機能強化やコンサルティングサービスの追加などでデータセンター(DC)を中心に需要を掘り起こしていく方針だ。ニーズの高まりに対応して新戦略を掲げたわけだが、気になるのは、ビジネス拡大に向けて直販をメインに据え、販社経由での展開は導入事例が現れてからという点だ。
販社経由は事例が出てから
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| 正田三四郎・事業部長 |
日本HPが掲げた戦略「HPConverged Infrastructure」は、ブレードサーバーと管理ソフトを組み合わせ、統合インフラという位置づけで提供している「HP BladeSystem Matrix」を武器に、最適なITインフラを求めるDCなどを顧客として獲得することが狙いとなる。正田三四郎・ESSN事業統括インフラストラクチャーソフトウェア・ブレード事業本部長は、「ユーザー企業のなかには、ITインフラを無秩序に拡大し、限界になっているケースがある。こうした問題を解決していく」と、新戦略を打ち出すことになった背景を語る。リプレース需要を掘り起こすため、製品提供だけでなくビジョン策定や計画立案を実施する上流工程のコンサルティングもサービス化。次世代ITインフラの提供というビジネスを成功に導くために組織した人員体制は、インフラストラクチャーソフトウェア・ブレード事業本部で20人、同事業以外でコンサルティングをはじめ技術やサービスの要員など他組織との連携を含めると100人規模になっている。
全社的に大きなプロジェクトとして今回の戦略を遂行していくわけだが、具体的な拡大策については「当面は、当社が直接ユーザー企業にアプローチをかけて案件を獲得する」としている。そのため、大規模なシステムを構築するDCを対象に提案を進める。一方、販社経由のビジネスモデルについてはどうか。「来年1月早々に、統合インフラのトレーニングを中心にパートナープログラムを拡張していく」という。
「HP Converged Infrastructure」の拡大策を踏まえると、同社は直販を中心に事業を手がけていく意識が強いといえそうだ。これは、コンサルティングを含めて提供していかなければ案件を獲得できないと判断しているからで、「導入事例を増やした段階で、販売パートナー経由のビジネス拡大を加速させる」としている。ブレードサーバーを中心に販社を増やすことに力を入れてきた同社が、方向を変えたとの見方が強い。
「有力な販社に対しては、コンサルティングを含めたビジネスを手がけてもらうように話を進めている。もちろん、できるだけ多くの販売パートナーにビジネスを手がけてもらいたい」。ただ、それには時間がかかると同社はみているようだ。事例を増やすことというのは、販社がパッケージのように売るといった環境づくりに取り組んでいるとみることができる。(佐相彰彦)