レノボ・ジャパン(ロードリック・ラピン社長)はノートPC「シンクパッド」で、法人向けの新シリーズ2機種を発売した。価格が8万円を切るモデルで、CPUの調達や設計の見直しなどでコストダウンを図り、価格を抑えた。景気低迷の影響で企業のIT投資が後退し、クライアントPC販売では価格引き下げ圧力が強まっている。レノボでは新製品で低価格でありながら高機能ノートPC並みの性能をもつ点をアピール。法人PC市場での需要喚起を加速したい考えだ。
新シリーズで需要開拓、シェア拡大へ
レノボが今回投入した新製品は「シンクパッド・エッジ」と「シンクパッドX100e」。「エッジ」は中堅・中小企業(SMB)向けの大型画面のノートPC、「X100e」は大企業を狙ったエントリーモデルと位置づけて販売する。
「エッジ」は周波数が1.5-6GHzのデュアルコアCPU、13.3インチLED(発光ダイオード)バックライト液晶、「X100e」は1.6GHzのCPUに11.6インチのLED液晶などを採用した。2機種ともにOSはWindows 7を搭載する。
価格は「エッジ」が7万9800円から、「X100e」は6万9800円から。レノボでは、液晶ディスプレイのカバー部の構造やキーボード配列の見直し、ボタン数の削減、AMD製CPUを採用するなどして低価格を実現した。
法人向けPCでは5~6万円台と低価格なネットブックを売り込む動きもあるが、「フルサイズのキーボードや長時間駆動など、企業の生産性を上げるネットブックにはない高い性能は必ず支持される」(ニコル・デイビッド執行役員)と自信を示しており、独自のユーティリティーソフトも企業が導入するポイントになるとみている。
企業向けには、ダイワボウ情報システム、丸紅インフォテック、ソフトバンクBB、大塚商会のディストリビュータ経由を中心に売り込む。
レノボは、新機種を法人市場でのシェア拡大に向けた呼び水にしたいと考えている。新モデル投入に合わせて販社との関係強化にも乗り出す。
具体的には1月下旬に東京、大阪、名古屋でディストリビュータをはじめとするパートナー向け説明会を開催。需要喚起策や共同マーケティングなどを検討する。「パートナーに製品在庫をもってもらう」(同)といった流通施策にも踏み込む予定で、インセンティブ(販売奨励金)の上積みも検討する。
また、プログラム強化を通じて取引の密度を深めることで、販社に新機種だけではなく、高性能モデルをはじめとする「シンクパッド」の既存モデルの販売も促進してもらいたい考えだ。(米山淳)

(左から)シンクパッドX100e、シンクパッド・エッジ