旭化成クラレメディカルは、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の「GreenOffice Directory(グリーンオフィスディレクトリー)」と「GreenOffice Workflow(グリーンオフィスワークフロー)」を導入。SAPと連携することで、システムにおける煩雑な管理の簡素化を果たした。また、ワークフローの導入により、これまで紙ベースで行なっていた多岐にわたる申請業務をシステムにのせ、証跡の保管もできるようになった。
国産ならではの対応が決め手 旭化成クラレメディカル(吉田安幸社長)は、クラレの100%子会社であるクラレメディカル(堀井秀夫社長)と透析事業と血液浄化事業を統合して2007年10月に事業を開始した合弁会社。血液をテーマにして、製品開発や治療技術の普及に取り組んでいる。中空糸型人工腎臓では国内トップ、海外でも高いシェアをもっている。
同社は、SAPと京セラコミュニケーションシステムのID管理システム「GreenOffice Directory」とワークフロー「GreenOffice Workflow」を導入。ID管理とSAPを連携させることにより、社内システムとアクセス権限を一元管理できるようにした。これにより、煩雑だったID管理を簡素化することができた。SAPを利用するためのID発行申請のように、紙ベースで行っていた申請業務をワークフローシステムによりIT化することで、出張旅費申請、パソコン購入申請など、多岐にわたる申請業務を効率化。申請・承認のトレーサービリティを確保し、監査証跡としての利用できるようになった。
旭化成クラレメディカルがSAPと連携するためのID管理システム導入の検討を開始したきっかけは、08年に内部統制の監査において、ID管理の必要性を指摘されたことからだった。同社は旭化成グループとして、当時ユーザーがSAPを利用するときには、旭化成への申請と、旭化成クラレメディカルの情報システム部への申請が必要だった。旭化成クラレメディカル情報システム部の今野加奈子氏は、「情報システム部に申請が出た時点で旭化成への申請がちゃんと承認が終わっているかということを確認しながらIDの発行をするわけですが、ID削除の際にも同じ手順を踏まねばならず、煩雑な点がありました」と状況を話す。
同社は、新しいシステムを導入するにあたり、ユーザーやアプリケーション、サーバーなどを統合管理できるディレクトリサービス「ActiveDirectory」との連携も実現したいという要望をもっていた。海外メーカーも含めて、5~6社を比較検討した。「それまで当社では申請業務をすべて紙ベースで行なっていたので、ID発行やその他の申請業務をワークフロー化して一緒に管理していきたいとも考えていました。ワークフローの使い勝手のよさを考慮した結果、KCCSさんにお願いすることにしました」(今野氏)と振り返る。SAPとの連携といった点では、どのベンダーにも差異はなかったが、ワークフローの使い勝手や多岐にわたる申請業務での利用を考えていたこと、国産ベンダーならではの対応が決め手となったという。
丸ID管理のルールづくりで苦労 プロジェクトのキックオフは08年8月中旬。旭化成クラレメディカル情報システム部の杉田広道課長は、「感覚的に1~2か月で導入できると高をくくっていた面もあります。打ち合わせを始めて決めていくことがたくさんあって、実際、作業を始めてから、テストも含めて導入準備に3か月くらい要しました」と話す。導入に際して最も苦労したのは、追い込み時期にあたる年末年始だったという。杉野氏、今野氏らが中心になってID管理のルールや申請のための帳票の作成を行い、それにテスト期間が重なり、大変だったと振り返る。
ID管理製品のオプションであるワークフロー製品は、一般的に機能が限定されている簡易版が大半を占めるという。KCCSプロダクト営業課グループ長の佐藤加那子氏は、「GreenOffice Workflowは申請書のルート変更、申請者と承認者の設定も画面でできるので、毎回社内のルールを変更してもベンダーにカスタマイズを依頼することなくユーザー企業で修正することができるようになっています」とメリットを話す。
そこからID管理のルールを決めていった。KCCS東日本サービスマネジメント課の田口剛史氏は、「グループ会社でIDを一括管理しているので、人が異動したときにどう対応するかとか、このときだけこうするといった独自ルールが必ずあります。それを早めに洗い出して対応していくことが、導入するうえでのポイントでした」。

旭化成クラレメディカルの情報システム部杉田広道課長(右)と、今野加奈子氏
入社、退職、社内異動のほか、旭化成グループから旭化成クラレメディカルに出向する場合、工場地区の従業員で人事データに載っていない人をどうするかといった例外的なところまで、細かくパターン分けしていった。
ワークフローでは、従来は紙ベースの申請書を使用していた。紙では9~10種類ほどの帳票しかなかったが、新たに20弱もの帳票をつくった。「ワークフローでは小回りの効く条件分岐など、とても簡単にできたので、いいものをつくって社内ユーザーに喜んでもらいたいと思いました」(今野氏)と話す。
08年12月には人事データをつないで仮運用を開始し、09年2月には帳票が完成、本格的な運用をスタートすることができた。内部統制の証跡については、これまでメールでやり取りしたものを集めて保管しておく必要があった。
「GreenOffice Directory」と「GreenOffice Work flow」を導入した後、申請業務をワークフローシステムに載せることができたため、すべて証跡をまとめて管理できるようになった。また、ADとの連携で、組織にひもづくアクセス権限を自動的に設定したり、異動発令後、新しい部署に切り替わるまでの猶予期間の対応も自動に処理できるようになった。
「当社の場合は、役職グループのアクセス権設定などさまざまな要望が出てきましたが、すべて申請ベースだったため、改廃がうまくいかなかった部分もありました。しかし、KCCSの製品で役職以上のグループ分けも簡単にできて、改廃も容易になり、助かっています」(今野氏)と効果を語った。
事例のポイント
・ワークフローの使い勝手を選択基準に
・グループ内の独自ルールを早期に洗い出して対応
・社内ユーザーに喜んでもらいたいという思いで帳票作成