日本IBM(橋本孝之社長)でx86サーバー開発・販売を手がけるシステムx事業部のトップに、今年度(2010年12月期)から小林泰子氏が就任した。同氏がポイントに置くのはやはり「クラウド」。現状、x86サーバー市場で日本IBMのシェアは5位だが、「3年後にシェアを2倍にする」と断言。旬の領域であるクラウドで優位に立ち、トップの座を狙う意気込みだ。
聞き手●木村剛士
――システムx事業部でのキャリアは?
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| 小林泰子事業部長 |
小林 5年ほど前から従事し、1年前からはセールスを担当してきた。
――2009年、x86サーバーの販売は全体的にかなり厳しかった。
小林 確かにつらい時期だったが、日本IBMは悲観的にみていない。今年の出荷に見込める案件が増えている。前任者が打ち出した価格戦略などが奏功し、これまでおつき合いのなかったITベンダーからも問い合わせをいただく機会が増えた。チャネル網が増強できている。
――今年は何に重点を置いて攻めるのか。
小林 当然、クラウド。これ一本で攻めるといっても過言ではない。SIerやITサービス事業者のクラウド構築ニーズは根強い。自社でクラウドを構築して、SaaSのようなサービスとして提供したいという狙いもあれば、ユーザー企業向けにパブリッククラウドを構築したいというニーズもある。IBMはクラウドを容易に構築するための材料を用意し、ITベンダーのクラウド事業拡大に貢献する。
――具体的に何ができるのか。
小林 ハードプラットフォームとして「System x」を提供するだけでなく、ソフトやサービスと組み合わせたクラウドメニューをつくる。想定される要望に合わせて、どのようなソフトとサービスを使い、どのような提案や設計が必要となるかを体系立て、ベンダーが提案しやすい、構築しやすいようにする。「ぷちクラ」という愛称でメニュー化を図っているところだ。
一方で、製品も増強する。クラウドの課題は、ワークロードをいかに効率的に最適化するかにあって、先日、それを解決するための日本IBMにしかない技術を発表した。新テクノロジーを搭載したx86サーバーを販売する計画で、競争力ある製品を提供することでも、日本IBMとつき合っていただく価値を提供する。
――現状のパートナーへの支援施策・体制をどう評価しているか。
小林 点数をつければ50点。まだまだ支援が十分ではないと思っている。新たな施策を打って点数をあげるよりも、まずは既存の支援内容を強化することが先決だ。技術情報の提供や販促物の用意など、当たり前の支援策がまだ弱い。これについては、地道に改善するしかない。徐々にかもしれないが、支援内容についてパートナーに満足してもらえるように取り組む。
――目標は何か。
小林 ユーザー企業にとって重要なシステムのハードインフラには、必ず「System x」を活用してもらえるようにしたい。シェア目標は3年後で現状の2倍と定めた。