DaaS(デスクトップ仮想化サービス)が岐路に立たされている。従来のクライアント/サーバー(クラサバ)方式による端末に比べて、価格が高止まりしていたことが普及を妨げていたが、ここへきて国内での先駆者である丸紅がDaaS利用料金を大幅に値下げ。クラサバ方式との価格バランスに変化が現れ始めた。DaaSは維持管理コストを抜本的に削減でき、企業のクラサバ環境を大幅に変える方式として注目を集める。丸紅では、値下げによって損益分岐点が上がるものの、その分、ユーザー数を増やすことで収益を補う戦略をとる。
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| 大橋一登 部長代理 |
丸紅は、自らが提供するDaaS型サービス「Virtua Top」の利用料金を今年7月、大幅に低減。最廉価版で月額3980円(1年契約ベース、税別)と、旧価格比で約4割値下げした。しかし、DaaSコスト全体の約30%は別途購入するWindows OSや、ビジネス用途で必須なOfficeなどのライセンス費用、約20%はパソコン端末(ハードウェア)が占める。週刊BCNによるDaaSベンダーなどへのヒアリングによれば、仮想化サービス向けのWindows OSの価格は3年間で約5万円。1か月あたり1400円ほどになる。
現行のOS、Office搭載済みのパソコンが、仮に10万円だとすれば、3年間使用した場合の月額料金はざっと2800円。このうちOSの月額相当の料金が半分を占めるとは考えにくいので、仮想化サービス向けのOSライセンスは割高であるといわれる。マイクロソフトとしては、100万ライセンス単位で注文をもらえるハードメーカー向けのOEM価格と、わずか数万単位のDaaS向けライセンスでは、「卸価格が違うのはやむを得ない」(マイクロソフト関係者)のだろう。
丸紅では、2009年7月からDaaS型サービスをスタート。この1年間でおよそ1000件を受注した。維持管理費が大幅に軽減できることから「“まとまった台数で本格導入したい”とのユーザーからの要望が予想以上に強い」(丸紅の大橋一登・ITネットワークビジネス部長代理)ことから価格改定に踏み切った。200~500件未満の契約でVista以上のOSが動作するメモリ1GBの売れ筋の価格帯も8500円から5000円に値下げ。ハードを購入してもOS、Office込みで3年間利用で月額1万円以下に抑えた。向こう1年で1万件の受注を目指す。規模拡大によってOSベンダーなどに対する価格交渉力や競争力を高め、本格普及につなげられるかどうかが問われている。(安藤章司)