ネットワンシステムズは、自社の倉庫を改装し、昨年10月からテクニカルセンターとしてネットワーク機器の検証を行っている。総面積2100m2の中に、検証の対象製品が総数7000機種ほど収められている。規模、質ともに国内トップレベルという施設を見学した。
新製品やソリューションを検証
ネットワンシステムズの新しいテクニカルセンターが、昨年10月に稼働を開始した。本社にあったセンターを、倉庫に移転。戸外には配送トラックが停められているので、そこにテクニカルセンターがあるとは見えない。
一般的に新製品の初期ロットは不安定で、OSの最新バージョンが搭載されたり、機能が増えてきたりすると、バグもそれに比例して多くなる。テクニカルセンターは、メーカーが発売する新製品の機能・性能が正しく実装されているかどうかの技術検証を行い、メーカーにフィードバックする重要な工程を担っている。約2100m2の敷地内には、7000にのぼる機器を配置・管理している。「ラボエリア」には19インチラックが301本。また、検証ルーム、検証エリアが設けられている。
テクニカルセンターには、億円単位の総合テスト機器を導入している。同社は、通信事業者、官公庁などを顧客として抱えている。とくに通信キャリアのネットワークに製品を導入する場合には、安定稼動、保守対応、万が一の場合の復旧作業が最も重視される。そのために、「隠れたバグも含めて、しらみつぶしに問題をフィックスしていく必要がある」(システム企画グループ 基盤管理部 ラボ管理チームの諸井渡課長)と、厳しい要求に対応する。
また、大手民間企業、自治体などは「こんなことはできないか」と、マルチベンダー環境下でのソリューションを望んでいることも多い。テクニカルセンターでは顧客の要望を満たすために、ソリューションとして問題がないかをどうかを顧客先の疑似環境をセンター内に構築して検証する役割も担っている。ちなみに、テクニカルセンターに置いてある機器はネットワンシステムズが販売している機器以外にも顧客環境をサポートするためだけに購入したものも多いそうだ。
また、保守の担当者がウェブを通じて機器の予約を行い、現場に行く前に地域の勤務先からリモートで接続し、保守トレーニングを行ったり、手順の確認をすることができるようになっている。

検証エリア。ウェブを通じて予約した機器を持ってきて検証する

ラボのラックはルータ、スイッチ、セキュリティといった分野ごとにゾーニングして機器を管理している。このゾーニングはテープを貼っているだけなので変更可能。写真は諸井氏

空調はダクトチャンバー式空調システムを採用。天井から機器を冷やす。通路は「コールドアイル」「ホットアイル」を導入し、機器の排気特性を生かした効率的な冷却を行っている。冬季には停めることも。ちなみに人感センサーで無駄な照明はオフにできる
ラリタン製品でリモート環境を実現
このリモートアクセス環境を実現したのがラリタン社の製品。本社オフィスとテクニカルセンターが離れてしまったので、遠隔操作で電源をコントロールできるリモート電源管理製品「Dominion PX」と「Power IQ」を導入した。また、ネットワーク経由で機器にアクセスできるコンソールサーバー、リモートでキーボード操作を可能にするKVMスイッチもラリタンの製品である。
建物の構造にフォーカスすると、通常の建物の場合、梁の上で1m2あたり700~800Kgの荷重が限界とされている。ところが、機器をラックにフル搭載すると重量が1t超になる。その点、倉庫を利用すると1m2当たり1.2tの重量に耐えることができる。一般的なマシンルームは、30cm床上げをして床下から配線やマシンを冷却するが、テクニカルセンターでは、すべて床上に配線。空調機も天井に配置して、効率的に冷却している。
さらに、グリーンITを実現するために、電力監視システムによって電力消費量を監視している。ラリタンの電源管理製品により、各ラックに配置されているコンセントごとの電力消費情報を可視化するほか、空調や照明を人感センサーでオン/オフにするなど、省エネの仕組みを構築している。
データセンター設備のエネルギー効率を表す指標「PUE」(全電力量を、サーバーなどのIT機器の電力量で割った数値)における電力使用効率は、夏場は1.8、冬は1.6ほどのレベル。その数値が「2」以上になると消費電力量が標準よりも多いことになる。通常のデータセンターでは、電源を入れたままの密閉空間で1.4~1.6程度といわれている。
さまざまな工夫が生きているテクニカルセンターは、ネットワンシステムズが施設設計からすべて自社で行ったもので、対外的にデータセンター向けのネットワークファシリティのショールームとしての役割も果たしている。(鍋島蓉子)

センターパッチによって、離れたラックに配置されている機器同士を接続することができる

ラリタン製の特注の電源。三つ穴を採用している。ラックのフレームには導電塗料が塗布されており、静電気を逃がす