クラウド型ソリューションやネットワーク管理関連製品を販売するゾーホージャパン(山下義人代表取締役)は、SaaS関連の業界団体「SaaSパートナーズ協会」と協業した。同協会が提供するプラットフォームから「Zoho CRM」を提供。ITコーディネータを介して、地域の中小企業に対してサービス拡販するとともに、ソーシャルメディアを通じて企業内の営業パーソンの「Zoholics」(=ゾーホーのファン)を増やしていく計画だ。
ゾーホーは、オフィスソフトやCRMを提供するクラウド型サービス「Zoho」を2007年に日本でサービスインし、現在までに22サービス、100社前後の顧客を抱える。同様のサービスを提供する「GoogleApps」と比べて、よりビジネス指向で、オフィスソフトではWindowsライクなユーザーインターフェースを採用したのが特徴。
「なかでも『Zoho CRM』はクラウド型CRM「Salesforce.com」と同等の機能をもちながら、価格がその5分の1と安価なのが好評で、国内でCRMの引き合いが非常に伸びている」(松本暁義・Zoho事業/技術リーダー)と好調。これを受けて同社では国内市場で「Zoho CRM」の拡販に力を入れる。
ゾーホージャパンでは、直販とパートナー経由の販売、SaaSパートナーズ協会が中心となって進めているクラウドプラットフォームからZohoのサービスの提供でシェアを伸ばす方針だ。ITコーディネータが地域の中堅・中小企業などに対してサービスを販売することで、クラウドによるIT利活用促進につなげるとともに、「Zoho CRM」のシェア拡大を目指す。
また「Zoholics(ゾーホリックス)」と呼ぶZohoファンの拡大を図るため、Twitterやブログで企業内の営業部門の個人に対し、サービスを訴求する。まだ「GoogleApps」のNo.1販社であるベイテックシステムズなど11社がパートナーとしてサービスを取り扱い、中堅・中小企業(SMB)へのアプローチを進める。一方で「サービスが安価なために十分なマージンを提供できない。いまは先進テクノロジーを取り扱う販社だけだが、いずれはSIerなどをパートナーにするため、課題を克服した形でパートナープログラムの発足を検討したい」(中沢仁営業マネージャー)と展望を語った。
米ゾーホーは1996年に米国に本社、インドに開発センターを置き、これまで、企業向けのIT運用管理製品「ManageEngine」やキャリア向けのネットワーク監視製品「WebMNS」などを展開してきた。「Zoho」をリリース後、現在までに200万ユーザーを超える納入実績をもっている。
クラウド型のCRMは「Salesforce.com」が市場の雄。だが、圧倒的に安価で、同等の機能を提供している「Zoho CRM」の国内での引き合いが高まっている。安価ゆえに市場開拓を進めるうえで課題もあるが、認知度が高まればゆくゆくはSalesforceの牙城を崩しかねない。(鍋島蓉子)

中沢仁営業マネージャー(左)と松本暁義技術リーダー