ソフトウェア開発のアチーボ(本社=米国、Sandy Wai-Yan Chau代表)の中国法人は、上海市近郊にある江蘇省太倉市に、約10万m2規模の国際アウトソーシングパークとデータセンター(DC)を設立し、10月末から稼働を開始する。これを機に、向こう1年で中国でのBPO事業を拡大し、中国の地場企業を重点ターゲットとしながら、同社にとっての主要市場を日本から中国へとシフトさせる方針だ。
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| アチーボ情報サービス李晨社長 |
太倉市のアウトソーシングパークとDCの設立は、アチーボが中国ビジネスの拡大に本腰を入れるための基盤となる。同社は、ドイツ市場から撤退したり、米国での事業が伸び悩んだりしているが、現在の売上比率が約50%の日本市場も成長が望み薄の状況となっている。新しい有望市場を探っているなかで着目したのは中国だ。アチーボ中国法人は、現在、日本企業向けのオフショア開発を事業の柱としているが、長期的な成長に向け、需要が旺盛な中国の地場企業をターゲットとするBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)を、主要事業に据える計画だ。
そのために、アウトソーシングパークとDCの設立と同時に、中国でのBPO事業の人員体制を強化する。向こう1年で約1000人を新たに採用し、人員数を現在の500人から1500人体制へと大幅に増やす方針だ。これによって、中国事業全体でBPOの売上比率を現在の25%から60%へ引き上げることを狙う。日本での営業窓口となっているアチーボ情報サービスの李晨社長は、「成功するかどうかは売り方次第だが、中国は最も重要な市場になるに違いない」と断言する。
新しいDCを基盤とした同社のBPOサービスを顧客企業にアピールするためには、低コストに加え、水準の高いセキュリティ対策が不可欠となる。「DCにしっかりしたセキュリティをいち早く導入し、お客様に安心できるサービスを提供する」(李社長)構えだ。
アウトソーシングパークとDCは、上海の中心部から約50kmしか離れていない好立地条件にあることや、上海市内に比べて土地価格が格段に安いことを生かし、利便性と低コストの両方を実現している。DCは、サーバーを収納する500ラックを設置しており、将来、ラック数をさらに拡大できる設計をとっている。
「BPO事業がうまくいけば、さらに新しいデータセンターをつくる可能性がある」(李社長)。アチーボは中国での事業拡大に向け、鼻息を荒くしている。(ゼンフ ミシャ)