その他
「クラウド」とは何なのか 今こそ明確な定義を
2010/11/25 14:53
週刊BCN 2010年11月22日vol.1359掲載
今年も残り1か月、週刊BCN編集部では新春号のネタを考え始める時期に入っている。先日、あるIT系メディアの編集長と、2010年の「10大ニュース」について意見を交わす機会があった。「富士通のドタバタ社長交代劇」「米インテルによる米マカフィー買収」「尖閣諸島の漁船衝突を撮影した動画の漏えい」などが挙がったが、いまいちピンとこない。毎年考えるこのテーマは、年が進むごとにネタに困っている気がする。そのことに寂しさを感じながらも、急速に広まりつつある「クラウド」に話題が移った。
2010年、クラウドは前年に比べて確実に存在感を増した。ユーザー企業のIT投資を煽るためのうたい文句の枠を超えて、パブリッククラウドを利用する企業が増加し、プライベートクラウドの構築を決断したユーザー企業も出てきた。クラウドに特化した展示会「クラウドコンピューティングEXPO」を今年初めて開催したリードエグジビションジャパンの島田周平事務局長は、「ユーザーは本気でクラウドを検討し始めている」と語り、実需が生まれていることを実感しているという。
しかしながら、一般用語として浸透しつつある現在でも、クラウドという言葉を発したり聞いたりするたびに、何か落ち着かない気持ちになる。クラウドの定義が定まっていないので、話す人やITベンダーによって、その意味が異なるからだ。クラウドとは、何を指す言葉なのか。ネットワークを介してITシステムのサービスを利用する方法のことなのか、仮想化・自動化・標準化技術を取り入れた情報システムのことを指すのか。それとも、従量課金制で提供されるITサービスのことを意味するのが適切なのか……。
クラウドに限らず、昔も今も、IT業界人はその意味を明確にせずに新たなキーワードを創出して、ユーザー企業を煽り、IT投資を引き出そうとする傾向がある。横文字が幅をきかせているのも、この業界の特徴だ。そのことが、ユーザー企業をしてIT業界全体に疑心暗鬼の念をもたせてしまっているのではないか。前出の編集長とは、クラウドについての見解の相違はあったが、このことについては意見が一致した。
情報システムは今後、所有するのではなく、利用する形が主流になる可能性が高い。電気やガス、水道のように、使った分だけ料金を支払うようになることも考えられる。今、その大きな転換点にあるはずだ。そんな大切な時期に、これまで同様に意味をあいまいにしたままで、主役を演じる「クラウド」という言葉を使ってはいけないと思う。
来たる2011年、専門紙の記者として、IT業界人にインタビューをする際には、必ず尋ねよう。「あなたが考えるクラウドって、どんなものなのですか?」と。(木村剛士)
今年も残り1か月、週刊BCN編集部では新春号のネタを考え始める時期に入っている。先日、あるIT系メディアの編集長と、2010年の「10大ニュース」について意見を交わす機会があった。「富士通のドタバタ社長交代劇」「米インテルによる米マカフィー買収」「尖閣諸島の漁船衝突を撮影した動画の漏えい」などが挙がったが、いまいちピンとこない。毎年考えるこのテーマは、年が進むごとにネタに困っている気がする。そのことに寂しさを感じながらも、急速に広まりつつある「クラウド」に話題が移った。
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