OSK(宇佐美愼治社長)が、製品ラインアップの大幅拡充を図っている。さらに、ソフト開発メーカーとの協業も推進。このほか、「まだ期待に応えていない」(宇佐美社長)という情報系システム「eValueシリーズ」などの拡販に向け、社内の営業・開発体制を刷新した。すでに中堅・中小企業(SMB)から高い支持を得ているERP(統合基幹業務システム)「SMILEシリーズ」の製品・販売強化に一層注力しつつ、販売が伸び悩んでいる従来製品や新規製品の営業支援を充実させている。新規ユーザーの獲得に強い意気込みをみせる。
2010年、OSKは大塚商会の連結子会社であるアルファシステムから、生産管理システム「遉(さすが)」の譲渡を受けた。タイヘイコンピューターからは建設業向け支援システム「POWERシリーズ」を譲り受けた。
「SMILEシリーズ」は、テンプレート、ライブラリなど業種ごとに適合する品揃えを用意したほか、CRM製品「SMILE CRM」をリリース。加えて、セイコーエプソンやプロシップ、インプレスなどと組んで、「SMILE BS/es 会計」の連携ソリューションを「SMILE ファミリー」として発売した。
新たに発足させた営業統括課では、「エナジーカルク」や「POWER」など、製品専門の営業支援部隊を組織。システムエンジニア(SE)を営業部門に振り分けている。「SMILE」の開発部隊は「eValue」のそれと統合しており、製品の連携を強化していく方針である。
「SMILE」の販売は好調だ。2010年(12月期)上期には、「『SMILE』は前年比で2ケタの販売増。前々年比でもプラスだった」(宇佐美社長)という実績をあげている。
調査会社のノークリサーチによれば、年商500億円未満のSMBの会計管理システム導入シェアで、「SMILE」は「勘定奉行」「弥生会計」に次ぐ6.8%。「PCA会計」を抜いて3位に浮上した。ノークリサーチは「OSKは2008年後半の金融危機以降にも、導入件数を積み上げることができたことが、シェア拡大に寄与した」と分析する。
同社は、「SMILE」と「eValue」に続く「第三の柱」(宇佐美社長)を打ち立てたい考えだが、当初候補に挙げていた「エナジーカルク」は販売が不調。2010年の注目分野に環境関連ビジネスを掲げて、使用エネルギーを集計する「エナジーカルク」拡販に意気込みをみせていたが、あてが外れた格好だ。宇佐美社長は「eValue」の売れ行き状況にも満足していない。営業・開発体制の整備を受け、販売パートナーとユーザーへの訴求力をどれだけ強められるかが注目点だ。
気になるのはクラウドに関する取り組みだが、「SMILE」のクラウドサービス化についての明言は避けている。当面は、好調なパッケージビジネスに軸足を置くようだ。(信澤健太)