RDB(リレーショナルデータベース)で“国内無敵”と評される日本オラクル。しかし、新規導入サイト数を調査したデータでは、「当社が1位」と胸を張るのは日本マイクロソフトである。同社はオラクルを猛追しはじめている。「保守コストの低減」をキーワードとして、「Oracle Databese」から「Microsoft SQL Server」への移行を勧める施策を展開している。
RDB市場のシェアの状況について、日本マイクロソフトのサーバープラットフォームビジネス本部クラウド&アプリケーションプラットフォーム製品部・斉藤泰行エグゼクティブプロダクトマネージャーは、「マイクロソフト、IBM、オラクルと、メーカーによってそれぞれ単価が違うので、金額ベースのシェアでは市場を正しく測ることができない」とコメントする。日本マイクロソフトは、調査会社のテクノ・システム・リサーチが発表する新規導入サイト分野の調査結果において、09年の結果ではあるものの、46.1%でシェア1位を獲得した。
業務システム向けのデータベース(DB)ソフトの市場について日本マイクロソフトは、調査会社や同業他社と同様、成熟段階にあるとみており、いかにしてライバル他社製品のリプレースを図るかが重点戦略となる。「恒常的な出費を余儀なくされる保守費用は、ユーザーにとって大きな負担となる。そこで、他社製品からSQL Serverへの移行によって保守コストの大幅な削減を実現できるという趣旨の施策を展開している」(斉藤マネージャー)。
日本マイクロソフトは、オラクル製品で有数の販売実績を誇る販社のうちの数社と提携し、顧客先でのアセスメントを展開している。保守コストの算出や移行難易度などをレポーティングするための費用は日本マイクロソフトが負担する。ユーザー企業にオラクル技術者しかいない場合にも、オラクルの「言葉」でSQL Serverの技術を学んでいく教育をやはりパートナーと組んで展開する。
また、日本マイクロソフトはハードウェアメーカーとのアライアンスによって各社のサーバーを組み合わせたDBアプライアンスをリリースした。ここでも価格優位性を訴える。現在、DWH、OLTP(オンライン・トランザクション処理)、BI(ビジネスインテリジェンス)、DBコンソリデーションの各ワークロードに最適化したアプライアンスを提供。ハードウェア/ソフトウェアライセンス、構築費用ともに競合他社に水をあける価格差で中堅から大企業まで幅広く導入を促進する。「2012年にはセキュリティ管理や、パフォーマンス、可用性を高めたSQL Serverの第4世代を発売する予定」(同部・北川剛エグゼクティブマネージャ)。新製品投入で市場への攻勢をかける。(鍋島蓉子)